長嶋茂雄「閉ざされた自宅」と「巨人V」命がけのメッセージ
2月9日、宮崎キャンプを訪問した巨人の山口寿一オーナーが、チームにとびきりの“サプライズプレゼント”を届けた。この日、山口オーナーは、1軍選手やスタッフが円陣を組む中、長嶋茂雄巨人軍終身名誉監督から託されたという激励のメッセージを読み上げたのだ。
〈ジャイアンツは今年立派なチームになるように。その意味において力の限りにやるためには、今年の巨人軍の選手をはじめコーチ、監督、一緒になって頑張ってもらいたい。今年は新たな巨人軍になると思う。おおいに頑張りましょう。長嶋茂雄〉
わずか100文字程度の短い文章。だが、かつてスポーツ紙で長嶋氏のコラムを担当していた記者は、この中に今の思いが詰め込まれていると語る。
「ミスターは形容詞ひとつにも妥協しない人。今回も何度も推敲したことだと思います。特に“今年は新たな巨人軍になる”という言葉には、ミスターの強い気持ちが表れているのではないでしょうか」(担当記者)
そんな長嶋氏からの熱いエールは、巨人ナインの胸に強く響いたようだ。
「原辰徳監督をはじめ、坂本や菅野、そして今季移籍したばかりの丸や炭谷も真剣な表情でメッセージを聞いていました。岡本は“チームが引き締まった”と感想を口にしていましたが、それぞれがミスターの言葉の重さを感じていたようですね」(スポーツ紙記者)
胆石を患い、昨年7月から闘病を続けてきた長嶋氏。昨年末に退院し、現在は自宅で療養しているという。
「病状が快方に向かい、ミスターは2月から始まるキャンプ訪問を目標として、懸命にリハビリに励んでいたそうです。しかし、残念ながら宮崎に足を運べるまでの状態には戻らず、今回の訪問を断念したようですね」(ベテラン記者)
そのメッセージを聞いた原監督は、「グラウンドに来られたいというのは、ヒシヒシと感じました」とコメント。毎年、宮崎キャンプを視察し、選手に直接アドバイスを送ってきた長嶋氏の“不在”を、おもんばかった。
「キャンプ視察断念は、ミスター本人が一番残念がっているはず。ただ、たとえ、どんな状態であっても、巨人への思いは誰よりも強い人。新たな船出を迎えるチームへ、まさに命を込めたエールだったのだと思います」(前出の担当記者)
現在の長嶋氏の状態は、退院した今もまだベールに包まれたままだ。1月18日に山口オーナーが“自宅でリハビリ中”と語った以外、長嶋氏の退院後の詳細は公表されていない。
今、実際は、どんな様子なのか。関係者に取材を進めると、秘められた現状が明らかになってきた。
■退院後、田園調布の自宅を選んだワケ
「ミスターは都内に家を2つ持っていますが、退院後は目黒のマンションではなく、田園調布の自宅のほうに帰ったそうです」
こう明かすのは、長嶋氏と旧知の球界関係者だ。
「マンションのほうは、バリアフリーになっている。一方、田園調布の自宅は階段が多く、同じ階であっても部屋の移動には数段の階段を上らなくてはいけない。ミスターは“日常生活が自然とリハビリになる”と、田園調布を選んだといいます」(前同)
あえて困難な環境を選んだあたり、復帰にかける長嶋氏の強い決意がうかがえる。かつて脳梗塞で倒れた際にも、ハードなリハビリに励んでいたのは有名な話だ。
「リハビリに打ち込むミスターの姿は壮絶で、周囲から“やりすぎじゃないか”と心配されたくらい。今回も、自分を厳しく追い込んでいることは想像に難くありません」(元巨人番記者)
そんな長嶋氏のストイックな性格は、周囲の人たちも心配しているという。
「盟友であるソフトバンクの王会長をはじめ、ミスターの友人たちは、退院後もあえて連絡を取っていないのだそうです。何か話せば、ミスターは期待に応えようと頑張りすぎてしまう。余計なプレッシャーを与えないように気遣っているんです」(前同)
今回、宮崎キャンプ訪問はかなわなかったものの、リハビリ自体は順調で、けっして病状が悪化したわけではないようだ。
昨年末には、次女の三奈さんが新潟で行われたイベントで、「本当に順調に回復しております。最近は間食が多くて、そっちが心配」と長嶋氏の回復ぶりをアピールし、話題となった。
「さすがのミスターでも、約半年という長期間の入院明けで筋力は衰え切っているはず。完全復活まで時間がかかってしまうのは仕方ないでしょう」(前出のベテラン記者)
リハビリに励みながら、「新たな巨人軍」に思いを馳せる長嶋氏。その期待に応えるかのように、巨人の選手たちはキャンプで躍動している。2月18日発売の『週刊大衆』では続けてミスター長嶋について報道。一日でも早い復帰が待ち望まれる中で、具体的に浮かんできた「復帰Xデー」について詳細に報じている。