「喝!」の張本勲、長嶋茂雄との知られざる「愛憎43年秘話」 (2/3ページ)

日刊大衆

“V9の燃えカス”を押しつけられた長嶋監督を救ったのは、王、張本の“OH砲”だと言っても過言ではない」(前出の古参記者)

 張本氏と王氏は、強い絆で結ばれているという。

「2人はプロ同期。ライバルとして尊敬しあっており、ハリさんは巨人入団が決まったとき、真っ先に王さんに電話している」(前同)

 王氏は、そのときの様子を、こう述懐している。

「ハリのあんなうれしそうな声を聞いたのは、後にも先にも初めてだね。“どちらが4番を打つか分からんが、頑張ろう”と言われたよ」

 長嶋監督の元に集ったOとH……ただ、両者の来し方は大きく異なっている。

「名門・早稲田実業のエースで甲子園のヒーローだった王さんが、当時としては破格の契約金1800万円で巨人に入団したのに対し、パ・リーグの東映フライヤーズに入団した張本さんの契約金は200万円でしたからね」(球界OB)

 プロ野球入りするまでの張本氏の半生は、まさに激動と言うにふさわしい。

「ハリさんは、在日韓国人二世として広島に生まれました。戦時中は被爆も体験しているんです」(前同)

 張本氏の自著『張本勲もう一つの人生』(新日本出版社)にはこう綴られている。

〈私の父・張相禎と母・朴順分が韓国の慶尚南道から日本にやってきたのは、一九三九年の春。(中略)まもなく広島市内の大洲町(現・南区大州)に引っ越します。私はそこで、翌一九四〇年六月一九日に生まれました〉

 広島で暮らすようになって間もなく父親を亡くした張本氏は、戦時下の食糧難の時代を家族で必死に生き抜いたという。そして、1945年8月6日、米軍が広島に原子爆弾を投下。張本氏は被爆する。

〈気がつくと、真っ赤な色が目に飛び込んできました。おふくろの血でした。おふくろが、私と三歳上の次姉・貞子をかばうように覆いかぶさってくれていたのですが、爆風で飛んできたガラスの破片を背中に受け、その血があちこちに散っていたのです〉(前掲書)

 このとき別の場所にいた上の姉は、原爆で全身に負った火傷で帰らぬ人となってしまう。

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