広島の連敗で懸念される、「カープ女子の球場離れ」と「交流戦の継続」
広島が弱いと、11球団も痛手をこうむる? 4月11日の東京ヤクルト戦を落とし、緒方カープは4連敗となった。ここまで12試合を消化して3勝9敗、単独最下位である。
「敗因はいろいろあると思います。丸佳浩がいなくなったこと、人的補償で獲得した長野の調子が上がってこないこと、開幕前から懸念されていた通り、先発ローテーションの4番手以降が不安定なことなど…。それ以上に心配なのが、こうした敗戦が観客動員数にも影響してこないかということです」(プロ野球解説者)
近年、広島は「カープ女子」の出現によって、観客動員数をアップさせてきた。本拠地・マツダスタジアムだけではなく、東京、大阪、名古屋、横浜など対戦チームの主催ゲームでもスタンドを満員にさせてきた。
「6月から始まる交流戦でも、『広島戦は儲かる』と、パ6球団が認めていました」(前出・同)
「カープ女子」は広島県内ではなく、全国区に広がっているからだ。
テレビのバラエティ番組でも取り上げられていたが、カープ女子を自称する若い女性に直撃すると、その多くは野球を詳しく知らず、山本浩二、衣笠祥雄両氏など往年のレジェンド選手が分からないといったありさまだ。そのことが悪いのではない。こうした状況を指して、「優勝圏内から完全に脱落してしまったら、応援してもらえるだろうか」と心配する声が出始めたのだ。
広島の球団内には「カープ女子は一過性のブームではない。完全に定着した」との声も聞かれた。しかし、カープ女子出現以降、「弱い広島」を目にするのは初めてのことだ。
「カープ女子にソッポを向かれたら、その恩恵にあやかってきたセ5球団はもちろん、パ・リーグも交流戦に対する見方を変えてくるでしょう」(スポーツ紙記者)
交流戦だが、パ・リーグが継続を訴え、続いているというのが実態だ。セ・リーグ6球団は「もともとは、経営難のパ・リーグを救うために始めたこと。パ・リーグ6球団の経営が順調となった今、継続する必要はないのでは」ともっともらしいことを言っているが、実際は対戦成績が悪いからだろう。
パ・リーグが継続にこだわる背景には“広島戦というドル箱カード”があった。その広島にファン離れが始まったとなれば、やはり、交流戦の継続にも疑問を持ち始めるだろう。
「パ・リーグ6球団は『ペナントレースはライバル、営業はパートナー』の発想で、共同でチケットの販売促進会社を立ち上げています。セ・リーグも特定球団にけん引してもらう考えを改め、パ・リーグの営業方法に追随するのではないか」(前出・同)
広島に詳しいTV局員の見方は少し異なる。
「広島ファンに好きな選手を聞くと、ランキングは出ますが、特定の選手に人気が集中しておらず、一軍選手にまんべんなく分散しています。負け試合が続けば、やはり観客数が減るのは避けられませんが、『激減』ということはないと思います」
窮地からの巻き返しに成功すれば、カープ女子をさらに熱狂させるドラマともなるはずだ。いずれにせよ、覇者広島の連敗が他球団にも影響を与えていることは間違いない。(スポーツライター・飯山満)