消費税増税の経過措置の全体像とそれに対する注意点を税理士が解説(2)

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消費税増税の経過措置の全体像とそれに対する注意点を税理士が解説(2)
前回に引き続き、消費税の増税に係る経過措置が適用される、工事の請負などの取引の注意点について見ていきます。この経過措置は、平成31年3月までの契約がベースになりますので、契約書が必ず必要になるのではないか、といった疑問があります。
この点、国税の資料を見ますと、契約書がなくとも契約が平成31年3月末までに示せる資料があれば、適用があるとされています。もちろん、税務調査で検討される話ですので、できれば契約書のような、堅い資料があった方がいいでしょう。


■資産の貸付けの経過措置

次に、資産の貸付けのうち、平成31年3月末日までに締結した資産の賃貸借契約に基づき、増税後も引き続きその契約に基づいて資産の貸付けを行っている場合において、その契約において次の1かち2、又は1かつ3の要件に該当する定めがあるときは、平成31年10月以後も、8%の消費税となります。

1 契約において、貸付期間と、その期間中の料金について定められていること。
2 事情の変更などの理由により、上記料金の金額について、変更を求めることができる旨の定めがないこと。
3 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申入れをすることができる旨の定めがないこと等

資産の賃貸借契約は、長期に渡ることが通例ですので、予め料金が決まっており、解約が難しいような一定の賃貸借については。契約時の税率である8%が適用されることになっています。

■料金変更ができないことの意義

上記2について、よくある質問の一つに、2年間は値上げができないなど、所定の期間だけ料金変更ができないとされている場合の取扱いがあります。このような取り決めであれば、その変更ができない期間についてのみ、経過措置の対象になるとされています。

なお、これと同様で2年契約で自動更新、といった場合もあります。この場合には、自動更新とは言っても2年経過段階で新しく契約を結ぶと判断されますので、更新後は税率が10%となります。


■ファイナンスリース取引については

ところで、解約が難しい資産の賃貸借取引と言えば、いわゆるファイナンスリース取引が挙げられます。ファイナンスリース取引は、解約が難しいことなどを理由に、税務上は原則として、賃貸借ではなく資産を借手に売買したとして、取り扱われます。詳細はこちらをご参照ください。

あくまでも、税務上も賃貸借とされる取引が経過措置の対象になりますので、このようなファイナンスリース取引については、この対象にはならないとされています。


■専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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