中世のトイレって・・・イギリスで発見された12世紀のトイレを詳しく分析したところ、利用者が特定できた!

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中世のトイレって・・・イギリスで発見された12世紀のトイレを詳しく分析したところ、利用者が特定できた!
中世のトイレって・・・イギリスで発見された12世紀のトイレを詳しく分析したところ、利用者が特定できた!


 今や我々の生活に切っても切り離せないトイレ。その形態は古代から現在に至るまでいろいろな仕様で変遷を遂げてきたわけだが、1980年代にイギリスで見つかったトイレの遺物が話題になっている。

 12世紀半ばのものとみられるその標本は、長い板に3つの穴が開いている共用便座とみられたものの、資金不足で分析ができないまま長らく保管されていた。

 だが熱意ある専門家がおよそ900年の歴史をたどり、その便座を利用したらしき複数の人物を特定したという。

・1980年代の発掘調査で見つかっていた木の便座

 この「便座」は、1980年代にロンドンで行われた大規模な発掘調査の際、テムズ川につながる地下河川のそばで見つかった。

 12世紀半ばに職人がナラの木で作ったとみられるこの板は、あちこち割れて失われた部分があるものの、もともとは長い板で人のお尻を乗せたとされる穴が3つ開いていたという。


 だが、残念ながら途中で研究費が尽きてしまい、それ以上の詳しい分析が叶わなかった。

 そのため驚異的に状態が良い極めて貴重な標本だったにもかかわらず、公表も展示もされないままずっと保管されていたという。


・3つの穴が開いた共用便座?さらに利用者の身元が!

 通常便座といえば一人掛け、つまり1つの穴が開いていれば十分だが、3つの穴があるこの遺物は共用便座とみられている。なお、加工はわりと雑で斧でざっくり作られたようだ。

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image credit: Museum of London Docklands

 じゃあ場合によっては3人一緒に…?という疑問もわくがそこはあいまいだ。

 12世紀のイギリスのトイレのエチケットは不明な点が多く、複数の人が並んで用を足していたかも、男女別になっていたかどうかもまだ定かではない。

 しかしこのような便座は過去にも国内の城などでいくつか見つかっている。

 この点についてロンドンの考古学博物館のキュレーターであるケイト・スナムールさんは以下のように話している。

 「その頃の人々は現代人ほど徹底した清潔志向ではなく、お互いの体についてもオープンだったかもしれません」

 というわけで具体的な使用法は未だ不明だが、保管の間にすすめられた別の調査によって驚くべき見解が明らかになったという。
 
 なんと熱心な専門家たちが「かつてこの板にお尻をつけて頻繁に用を足したと思われる複数の人物」の身元を特定したというのだ。


・発見場所の歴史をさかのぼり利用者を特定

 スナムールさんによると、発掘当時この板は、地下河川であるフリート川付近の汚水槽の上に横たわっていたという。

 そこで専門家たちはその周辺の歴史をさかのぼれば、この便座をよく使っていた人物がわかるかもしれないと考えた。

 そして過去を地道に調べて行くと、およそ900年前、ちょうど板が見つかったあたりに住居があったのをつきとめた。

 その建物は、1100年代半ばに帽子屋を営んでいたジョン・デフレートという人物が所有する店舗兼アパートで、当時はまだ地上を流れていたフリート川の小島に建っていた。

 板があった場所はそのアパートの裏にあたることから、デフレート氏とその妻カサンドラを含む一家と複数の人々が便座の利用者だったと考えられる。


・川の痕跡も有力な手がかりに。研究者も感激!

 その後の900年で開発などが進み、当時と現在のロンドンはかなり様変わりしている。

 だがこの辺の人々は新たな建物を建てる前に土地をきれいにならす習慣がないため、たとえ川を地下に移しても、その川が作った地形の面影が残っている。それが調査の良い手がかりになったようだ。

 なお、かつてデフレート氏のアパートがあった場所は、現在のセントポール大聖堂付近にあたるという。 

 通常であれば「はるか昔の誰か」のものとしかみなされない遺物に、こんなに詳しい情報が得られたのは発掘にかかわった研究者にとっても喜ばしいことだ。

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image credit:independent

 スナムールさんもこの調査に感激していて「利用者らしき人のことが特定できるなんてすごいですよ。この便座は本当に魅力的な遺物ですが、当時はありふれたものだったに違いありません」と語っている。


・今年5月にレプリカと一緒に博物館に展示

 とはいえ、今回の遺物についてわからない点は他にもたくさんある。

 現在見つかっているのは便座部分だけで、当時のトイレの具体的な構造はもちろん、この長い板がどのように支えられていたかもまだわかっていないそうだ。

 いくつかの謎を含むこの便座は、今年5月から10月までロンドンのドックランズ美術館に無料で展示される予定で、来館者の自撮りにうってつけのレプリカも一緒に並ぶ。

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image credit:independent

 スナムールさんによると、レプリカの座り心地は快適だが、3人座るとお互いの肩が触れ合うため少々ぎこちない感じになるという。
 
 研究者の情熱と努力によって判明した驚きの調査結果。およそ900年前に普通に用を足していたであろう生前のデフレート夫妻も、こんな形で後世に名を遺すとは夢にも思わなかったに違いない。

References:atlasobscura など /written by D/ edited by parumo
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