『弟の夫』漫画家・田亀源五郎「イギリス上陸と同性愛を語る!」大英博物館に展示された複製原画が手に入る!? (6/8ページ)

日刊大衆

 根っこにある“恋愛や性行為で消費されるのではないゲイの物語”というテーマは2作とも共通しているので、私の中では姉妹作という位置づけです。

 内容としてはゲイの高校生男子の日常生活を描いています。最近ではそれほどゲイであることをうしろめたく思うことのない時代にはなってきていると思うんですが、ごく自然にオープンにできるかというと、まだそこまでの社会にはなっていないですよね。

 その“オープンにできない人間”を描くことで、同じように悩んでいる人たちにはリーチ(伝達し広げる)して欲しいし、また逆に身近にもオープンにできない人がいるんじゃないか、あなたの子供がそうなんじゃないか、というような想像力を、非当事者には持ってほしいと思っています。

 私が描いてみたいのはゲイ同士の話で完結するのではなく、個人のゲイと社会が関わる間で産まれてくるドラマなんです。今までフィクションではあまり読んだことがなく、私自身も読んでみたいと思っているので、自分で描いてみようと思いました」

――『僕らの色彩』はコミックス1巻が発売中ですが、最初から胸に迫る展開が続いて目が離せない作品となっています。最後にもう一つお伺いしたいんですが、先生が作家活動を始められてからの約30年間で、ゲイと社会の関係はどのように変わってきたとお考えでしょうか?

「30年のうちの20年はあまり変わっていなくて、ここ10年くらいの間にものすごいスピードで変わったという印象です。

 理由としては、ここ10年くらいで同性婚の合法化というのが世界中からニュースとして流れてくるようになったということと、並行して“LGBT”という言葉が一気に脚光を浴びるようになったということがあると思います。

 それはようやくセクシャルマイノリティの存在や権利というものが目に見えるようになってきたということで、それによって男性同士の恋愛を描いたドラマが人気を博したりしていると思います。

 でも、そういったフィクションやニュースの中ではなく、日常レベルでどれだけ顕在化しているかといえば、まだまだだなと思っています。

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