長嶋茂雄が大谷翔平に「ミスタープロ野球」DNAを伝授!

日刊大衆

写真はイメージです
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 メジャーで日本人初となるサイクル安打を達成し、好調を維持する怪物。胸には“Nの遺伝子”が流れていた!

 メジャー2年目のシーズンを迎えたエンゼルス・大谷翔平(24)。6月13日(現地時間)のレイズ戦では、日本人初となるサイクル安打を達成するなど、快進撃が止まらない。「昨年10月に米ロサンゼルス市内の病院で、痛めた右肘内側のトミー・ジョン手術(靭帯再建手術)を受けたため、1年間は投手としてのプレーはできません。打者としてなら数か月のリハビリで復帰可能だったため、今季は5月から“打者・大谷”として活躍しているわけです。もし、彼が投手だったら、今シーズンは棒に振っていましたね」(スポーツ紙現地特派記者)

 大谷の専売特許が投打の“二刀流”だからこそ、今季もフル稼働できるわけだ。「エンゼルスでは、クリーンアップを任され、3番DHで出場することが多いですね。チャンスに強く、長打も打てる大谷は、現地でも大人気ですよ」(前同)

 このまま調子が上がっていけば、「3割、30本も十分可能」(同)というからすさまじい。大リーグ評論家の福島良一氏が解説する。「日本人初となるサイクル安打を記録したのを機に、現地メディアでは絶賛の嵐です。“世界一の二刀流選手”とか、“史上最高の日本人選手”と評したメディアもありますね」

 メジャーの元選手からも、称賛の声が上がっているという。「エンゼルスOBで解説者のブライアン・アンダーソンは、“投手としても素晴らしいが、爆発的なバッティング力を持っている。ベーブ・ルースもなしえなかったサイクルヒットを打つなど、ベーブ・ルースを超えた存在になっている”と高く評価しています。マリナーズでイチローのチームメートだったエリック・バーンズも、“イチローにパワーが加わったような存在”と、最大限の賛辞を贈っています」(前同)

 実は、全米では「打者・大谷こそ最強」との声が高まっているという。「私は、史上初の二刀流選手として活躍し続けてほしいと思っています。ただ、今季の活躍を見て、“打者に専念すべき”とする専門家も出てきています」(同)

 二刀流反対派の代表格である評論家の江本孟紀氏も、「今季の活躍は、バッター一本でやっているから。わざわざ二刀流なんかやることはない。ピッチャーなんかやったら、また故障のリスクを抱えるだけの話」と断言。またぞろ議論が沸騰しそうなのも、それだけ、大谷の活躍がすさまじいからだろう。

■甲子園で150キロ、田中将大の記録に並ぶと

 連日、全米を沸かせている大谷。「リトルリーグ時代から、120キロ近く出ていた」(地元関係者)という証言もあり、プロ入り前から怪物伝説には事欠かない。「“岩手の強豪”花巻東高校の2年時には、甲子園で150キロを出し、田中将大(現ヤンキース)の記録に並ぶと、3年時の岩手県大会ではアマ球界では前人未到の160キロを達成し、スカウトの度肝を抜きました。打者としても、3年時のセンバツ大会では、藤浪晋太郎(現・阪神)からホームランを打っています」(高校野球専門誌記者)

 大谷が藤浪からホームランを放った試合は、王貞治ソフトバンク会長も観戦していたという。「王さんは、“彼は打者として大成するはず。僕のホームラン記録を抜くことができるかもしれない”と絶賛していました。一流は一流を知る、ということですね」(王会長に近い関係者)

 それでも、王会長がGMを務めるソフトバンクは、2012年のドラフトで大谷を指名しなかった。「大谷の才能に目をつけたドジャースやレッドソックスが、ドラフト会議前に大谷に接触し、獲得を打診していたからです。本人もメジャー志向が強かったため、“大谷はメジャーに行く”というのが球界関係者の共通認識になっていました。日ハム以外が指名を見送ったのは、そうした理由からです」(スポーツ紙デスク)

 メジャーに行きたいという大谷の気持ちを知りながら指名を強行した日ハム。当初は大谷に門前払いを食らったが、諸葛亮を訪ねた劉備の“三顧の礼”のごとく粘り強く交渉し、ついに入団の同意を勝ち取る。「栗山英樹監督の熱意が通じたんでしょう。球団は、“二刀流への挑戦”と“将来のメジャー移籍を許す”という条件を飲んだとされています」(前同)

 1年目は11回の先発登板で、3勝と負けなし。野手としては77試合に出場し、打率.238、3本塁打、20打点を記録している。「プロで本当に二刀流を実現したわけですが、ルーキーということもあり、投打とも成績は中途半端に終わっています。そのため、球界では二刀流に対する懐疑論が持ち上がり、“打者大谷”“投手大谷”で侃侃諤諤の議論となりました」(スポーツ紙デスク)

 しかし大谷は、周囲の雑音を自らシャットアウトしてみせた。「2年目は先発ローテの柱を担い、24試合に登板し11勝4敗。打っても、打率.274、10本塁打と、“2ケタ勝利、2ケタ本塁打”を実現しました。これで世間を、“本当に二刀流ってできるんだ”と認めさせたわけです」(前同)

 圧巻は4年目の16年シーズンだ。20回の先発登板で、10勝4敗、防御率1.86。野手としては打率.322、22本塁打、67打点を記録。「まさにプロでも“エースで4番”の活躍」(同)という離れ業をやってのけた。「本人は信念を持っていましたが、本当は二刀流に対するプレッシャーも相当あった。“プロなのに、二刀流なんてワガママを言うんじゃない”と憤る球界OBもいましたし、栗山監督だって、“勝ち星が計算できる投手専任で起用したい”のが本音だったはずです。そうしたモヤモヤしたものが、16年のシーズンを経て、すべて吹っ切れてしまったんです」(スポーツ紙パ・リーグ担当記者)

■怪物がさらなる覚醒を

 ひと皮剥けた大谷。そんな怪物が、さらなる覚醒を遂げたのが、この年のシーズンオフに実現した“ミスタープロ野球”長嶋茂雄氏(巨人軍終身名誉監督)との出会いだった。「スポーツ報知の企画で、年末にミスターと大谷が対談したんです。記事は翌17年元旦発売の同紙上に大きく掲載され、反響も大きく、今では“伝説の対談”となっています」(前同)

 “ミスタープロ野球”と呼ばれるレジェンドと、海を渡り球界の歴史に新たなページを刻んでいる若武者。両者の対談は、非常に興味深いものだった。〈(長嶋さんは)テレビの中の人。小さい頃から大スターみたいな感じです。岩手(のテレビ中継)は巨人戦が主。本当に巨人戦ばかり見てました。僕が好きだったのは高橋由伸さん。1番を打っていた時とか。二岡さんもそうですし。その時の監督は長嶋監督で〉(スポーツ報知17年1月1日号より=以下同)

 大谷は、巨人戦を見てプロへの思いを強くしていたのだ。そんな大谷に長嶋氏は、こんな言葉をかける。〈今年で5年目? 大したものだね。高校の時は正直、分からなかった。すごい選手がいると見始めて、『あ、これはすごい選手になるな』と。3年ぐらい前から、すごい投手になるとみていました〉

 王会長が早くから「打者・大谷」を買っていた一方で、長嶋氏はどちらかと言えば、「投手・大谷」を評価していたことが分かる。ただ、打撃に関しても、〈打撃もいいね。背が高い上に、バットの出し方が非常にスムーズ。(球のインパクトまで)短く、前に(フォロースルーが)大きい〉とベタ褒め。さらには、〈悪いところは何もない。外角はレフトへ、内角はライトへ。広さ(打球方向)が非常に大きい。打撃に関しては何も言うことはないね。教え子だったら?  教えることなんてないよ。ないもん(笑い)〉

 大谷も、これには恐縮しきりだったはず。たまらず、長嶋氏に打撃について質問している。すると、長嶋氏は、〈僕の場合は初球から打つ。1ボールからも打ちにいく。2ボールだったら打たないかな…。2ボールになれば打者の勝ち。1ストライク2ボール、1ストライク3ボールの時は勝負〉と、生涯打率.305、444本塁打、1522打点の強打の秘密を惜しげもなく伝授している。

 両者の年の差は実に59歳。それでも長嶋氏は、〈僕と勝負したら、どうだろうね。勝負にならないな(笑い)。160キロのすごい球を投げるから、そう簡単には打てない。バットに当たることは当たるけど、本塁打、安打はなかなか難しい〉と、茶目っ気たっぷり。

 ただ、プロとしての心構えについては、大先輩としてシリアスに語っている。〈やっぱりファンあってのプロ野球。まずファンを大切にする気持ちが必要。(中略)オフも忙しいのは仕方ない。ファンのために、マスコミなどにサービスするのは大事な要素だよ〉 これが、“ミスタープロ野球”と呼ばれた男が、今も守り続ける矜持なのだ。

■松井秀喜に「大谷は大丈夫か?」と

「6月21日からの東京ドームでのソフトバンクとの3連戦は、王さんの視察が決まっていたため、ミスターはドームに顔を出すつもりでした。ところが、医師団からは外出の許可が得られなかった。“ワンちゃんも、ファンも待っているから行く”とミスターはゴネたようですが、愛娘・三奈ちゃんが“ダメ!”と、ピシャリ。諦めたようですね」(球界関係者)

 そんな長嶋氏は、巨人戦はもちろん、大谷が出場するメジャーの試合をテレビ観戦することが、現在、何よりも楽しみなんだとか。

「愛弟子の松井秀喜に、“大谷は大丈夫か?”と聞いたこともあるとか。松井は“あの体格ならメジャーにもヒケを取りません”と太鼓判を押したようです」(前同)

 メジャーリーグという世界最高峰の舞台に対する憧れは、ミスターにも強くあったという。

 大谷との対談の中でも、〈昭和36年(1961年)、巨人がドジャータウンで1か月キャンプ、オープン戦をやって、ドジャースが日本の野球を見て。それで『長嶋を米国へ行かせて(メジャーでプレーさせて)みないか』と。でも、諸条件が合わなくて結局ダメだった。学生の時からよくメジャーの話をしたり、立大3年時は『メジャーに行ったらどうか』という話もあった〉と、告白している。

 松井しかり、大谷しかり、長嶋氏が後輩に惜しみない愛情を捧げるのは、自身が果たせなかった夢を託しているからなのかもしれない。

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