深田恭子（３６）主演のドラマ『ルパンの娘』（フジテレビ系）。深キョンのドロンジョネタ、小沢真珠の財布ステーキなど、キャストの過去作品に関わるネタがぶち込まれたのが、８月８日に放送された第５話。さあ、そこから物語は一気にシリアスモードになだれ込むかと思いきや、８月２９日放送の第８話にきて、ネタ祭りが再び炸裂！　本当に油断できない、このドラマは……。

　第８話はＬの一族とバレた三雲家が、逃亡のため一度、一家解散するという、かなり悲惨な展開である。ところが制作スタッフはここぞとばかりに遊び演出を炸裂させたのだ。

　これまでも映画・ドラマ愛があふれ出たオマージュ満載だったが、今回は長男の渉（栗原類／２４）はホームレス中学生、祖母のマツ（どんぐり／５９）はヨコハマメリー、父の尊（渡部篤郎／５１）はトラック野郎、そして母の悦子（小沢真珠／４２）には『牡丹と薔薇』の名せりふ「役立たずのブタ！」を投入。これだけ好き放題に盛り込みながら、最終的には映画『幸せの黄色いハンカチ』のストーリーに強引に持っていき、感動させるという力技を見せた。

　そして、なんといっても第８話の目玉は、警察の指名手配から逃げる華を助ける場末のスナックのママ、薄井佐知を演じた遠野なぎこ（３９）だ。７月１８日放送の『アウト×デラックス』（フジテレビ系）の、“『ルパンの娘』オーディション”に見事合格して出演権を勝ち得たが、話題作りで終わらずしっかりと女優として爪痕を残したのはさすがだ。

　口角を片方だけ歪め、すべてを諦めきったかのようにヤサグレせりふを語るその迫力。ふらふらと愛しい男性に抱きつくときの色気。『アウト×デラックス』では情緒不安定でエキセントリックな個性を披露している彼女だが、芝居の世界観にバラエティ色を持ち込まず、しっかり“薄井佐知”として存在していた。

■深田恭子が破局のまさかな展開へ！

　遠野は今回の出演で「想像以上に大きな役で３日間吐き続けるほどの緊張感がありました」と、公式サイトのインタビューで答えていた。泣くシーンで手が細かく震えていたのは、はたしてその緊張からなのか、女優魂に火がついての渾身の力を込めた演技だったのか。

　ネットでは「遠野なぎこ、正直めっちゃ嫌いだったんやけど、あの役すごい良かった」「遠野なぎこはなんだかんだ言っても女優」「なぎこさん、好きになりました」など、大絶賛の声が相次いでいた。これをきっかけに、遠野がまた女優として活躍する機会が増えてほしい。

『ルパンの娘』は、９月１２日に第９話が放送される。第８話は和馬（瀬戸康史／３１）に手錠をかけられた華だったが、予告では、無事にＬの一族が再結成し、華は円城寺輝（大貫勇輔／３１）にプロポーズされ、和馬はエミリ（岸井ゆきの／２７）と婚約。なにがどうなってそうなるのか!?　絶対にリアルタイムで確かめたいところだ。 

　そして最終章に突入したものの、もう一度、ネタ祭りがあることを期待してしまう。なぜならまだ藤岡弘、（７３）が動いていないからである。２組のカップルの行く末はもちろん、ぜひ“ラスボス”藤岡の見せ場を待ちたい。（田中稲）