人間の胎児の手足にトカゲのような筋肉があることが3D撮像スキャンで明らかに(米研究)
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一説によれば、人類社会にはレプティリアンなるヒト型爬虫類がこっそりと紛れ込んでいるという。もしかしたら、彼らが紛れ込むやり方は我々が考えるよりずっと巧妙なのかもしれないし、そうでもないのかもしれない。
一例を挙げよう。私たちに尻尾はもはやないが、お尻のところを触ってみれば尾てい骨という突起がある。
じつはそれを成長させるための遺伝子コードはまだ存在しており、分子のシグナルさえちゃんと届けば腕や足のようにしっかりと成長するのだ。
これはレプティリアンが我々の遺伝子レベルで紛れ込んでいるという証拠ではないのか。
そんなバカなと思うだろうか。だが、お腹の中にいる人間の赤ちゃんにはトカゲのような筋肉があるという事実を知ればどうだろう?
・人間の胎児の手足には「トカゲのような筋肉」があった
レプティリアンはさておき科学的な話をするなら、これらは私たちの進化の名残だ。
進化はただまっすぐに突き進んでいるわけではない。そのときは便利だった突然変異も環境が変われば役に立たなくなることもあり、そのためあっちに行ったりこっちに行ったりと曲がりくねりながら進む。
尾てい骨や親知らず、あるいは盲腸など、そうした痕跡器官は往往にしてかつては重要な機能をはたしていた。
しかし自然選択によって人口構造が変化するにつれてだんだんと使われなくなり、やがてはほとんど無意味なものになってしまった。
そうなると機能自体は消えてしまいがちだが、特に害になるわけでもないのでそのまま形としては残り続ける。また別の状況では、痕跡器官が体が成長するにつれて消えるということもある。
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このほど発表されたのは、お腹の中にいる人間の胎児の手足には消えてしまう筋肉が30ほども存在しており、しかもその一部はトカゲのような筋肉であるという衝撃な研究結果だ。
これらの筋肉の3分の1は妊娠13週までには消失するか互いに融合してしまうため、生まれた時点ではもう失くなっている。
だが、たとえば「dorsometacarpales」という部分は、2億5000万年前なら大人になっても残っていた。それらは爬虫類が哺乳類に枝分かれした頃の名残で、今日ではトカゲやサンショウウオに見られるものだそうだ。
胎児の左手にあるdosometacarpalesimage credit:RUI DIOGO、NATALIA SIOMAVA AND YORICK GOTTON
・人間の発達プロセスは考えられていた以上に複雑
初めて存在が明らかになったこうした筋肉は、米ハワード大学の研究グループが15人の胎児を先端の3D撮像技術でスキャンすることで発見された。
赤ちゃんの中には指の数や手の筋肉が普通よりも多い状態で生まれてくる子たちがいるが、このことは今回発見された筋肉で説明できるかもしれない。
とはいえ、3Dスキャンでみつかったdosometacarpalesをすべて持ったまま生まれてくる赤ちゃんはこれまでに一人もいない。
どうせ後で消えてしまうのに、体がそうした筋肉を一時的に発達させる理由はよくわからない。しかし、そのプロセスは今回の研究の中で詳細に解説されている。
赤ちゃんの足の筋肉image credit:RUI DIOGO、NATALIA SIOMAVA AND YORICK GOTTON
研究グループのルイ・ディオゴ博士によると、親指には他の指よりもかなり多くの筋肉がついており、これによって緻密な動きが可能になっていると話す。
もしかしたら他の指にもそうした筋肉がついていたのかもしれないが、そこまで使われないために失われてしまったのかもしれない。
ところが、一度ゲノム(遺伝情報の全体・総体)によって発現した特徴を完全に消し去るのはそう簡単ではないということらしい。
今回の研究によって、人の発達プロセスはこれまで理解されていた以上に複雑であることが明らかになった。
さて、私たちは他に何を失っているのだろうか? それともやはりレプティリアンの陰謀、とでもいうのだろうか?
この研究は『Development』(10月1日付)に掲載された。
References:Ifl science/ Zme scienceなど / written by hiroching / edited by usagi