歴代総理の胆力「幣原喜重郎」(2)田中角栄の「政治の師」 (2/2ページ)
カネも切れる、政治的資質も高いので、こうした田中を幣原もかわいがり、時の実力者の吉田茂へも“売り込み”に汗をかいてくれた。1年生の吉田内閣で法務政務次官になれたのも、田中は幣原が「吉田にネジを巻いてくれたからだろう」と言っていた。
田中をのちの実力者へのレールに乗せたのは、まさに幣原だった。「先生」とした田中の敬愛ぶりが知れるのである。
■幣原喜重郎の略歴
明治5(1872)年8月11日、河内国(大阪府)生まれ。アメリカ・イギリス大使館参事官を経て、外務次官、ワシントン軍縮会議全権委員。外相歴任のあと、昭和20(1945)年10月内閣組織。総理就任時73歳。昭和26(1951)年3月10日、狭心症のため死去。享年78。
総理大臣歴:第44代1945年10月9日~1946年5月22日
小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。