中国山脈にいます:杉作J太狼XE「美しさ勉強講座」連載113 (2/4ページ)
たいへん険しい山道で、俺はあんな急な坂の急なカーブを見たことがない。おまけに道が狭くて峠道でめったに車は来ないが猛スピードの車や超大型トラックも来る。
一寸先が見えない霧が出たこともあった。
歩くよりもゆっくりとその峠道を走っていたら目の前に全裸の女性が現れた!
それもふたり。
手をとりあって歩いているように見えた。
理解できず、俺はなにかを放棄した。
よく見たら鹿だった。
鹿が二頭、いた。
目の前に車が来てもまったくよけようともせず、ゆっくりと道を譲ってくれた。
明日、その峠を越える。
日曜日の未明にはそこを戻ってくるためにまた越えるだろうか。
深夜、ラーメン屋は閉まっているから高速道路で帰ってくるかもしれない。
なにが言いたいか。
死ぬかもしれないと言いたいのだ。
ずっとそんな日々を過ごしているような気もする。
男の墓場プロダクションという名は冗談でつけた名前ではない。
来週以後のことは無事に生還したら考えます。