大晦日の「除夜の鐘」がうるさいと苦情……夕方に鐘を撞く「除夕の鐘」に変える寺院も

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大晦日の「除夜の鐘」がうるさいと苦情……夕方に鐘を撞く「除夕の鐘」に変える寺院も

大晦日を代表する風物詩と言えば、「除夜の鐘」を挙げる人も多いと思います。

年越し蕎麦をすすりながら、夜陰に響く鐘の音を数える……そんな心静かなひとときは、一年間の労を癒やし、来る年への活力を養ってくれるものです。

しかし近年では、この除夜の鐘を「うるさい」と思う方もいるようで、苦情によって除夜の鐘をとりやめる寺院も出てきているそうです。

悲しすぎる…。お寺の「除夜の鐘終了」のお知らせが、悲しすぎる…。

子供の頃からお寺の鐘で「あぁ、もうお昼か」などと感じていた一人としては、逆に鐘の音が聞こえないと寂しいくらいですが、音の感じ方は人それぞれ。不快に思う方がいるなら仕方なしとの意見も一理はあります。

とは言っても、古くから日本人の情緒を培ってきた鐘の音が、年の瀬に聴けなくなるのはやっぱり寂し過ぎる……という訳で、中には時間を前倒しして夕方に鐘を撞く「除夕(じょせき)の鐘」に移行した寺院もあるようです。

除夜の鐘、そもそも深夜に始めた理由は?

何時に撞いても、煩悩を祓う効果は同じ(イメージ)。

そもそも除夜の鐘は「人間に百八つある煩悩(ぼんのう。仏の悟りを妨げる邪念)を追い祓う」ために一年間の締めくくりである「大晦日の夜」に撞くものであり、別にその時間が「日付が変わる直前(深夜)でなくてはならない」と言った決まりはありません。

※もちろん何時に撞こうと煩悩を祓う「効果(ご利益?)」に変わりはなく、大切なのは鐘を撞く本人の心構えという事でしょう。

深夜に行うようになったのは戦後(※)、新年の初詣客を呼び込もうと「特別なイベント感」を盛り上げるための演出であり、NHK番組「ゆく年くる年」によって広まった比較的新しい慣習と考えられています。

(※)戦時中は金属供出によって、撞く鐘そのものがない寺院が多かったようです。

で、実際に夕方に変更してみたお寺では「苦情は来なくなった」「高齢者や子供も参加しやすくなった」「若者たちが境内で夜遅くまで騒ぐこともなくなった」と言ったメリットもあるようです。

個人的には静かな夜陰に響く鐘の音をこれからも聴きたいところですが、みんながより楽しめる形で伝統行事を続けていく創意工夫も、あってよいのではないかと思います。

※参考:
「除夜の鐘がうるさい」時間を前倒しするお寺増加…“効果”は薄れないかも聞いてみた

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