天才テリー伊藤対談「デヴィ夫人」(1)戦争と貧困の経験は神からのギフト (2/2ページ)

アサ芸プラス

デヴィ よく「デヴィ夫人ってラッキーね。きらびやかなドレスを着て、豪華な宝石を身につけて、今日はパリだ、ニューヨークだって人生を満喫して」って言われますけれど、とっても心外なんです。私は人の3倍勉強して、3倍働いて、3倍努力して、人の3分の1の睡眠でやってきましたから。今でもそうですよ。私自身がラッキーだと思うのは、戦争と貧しさの経験があることだけです。貧しさこそ、神から与えられたギフトですから。

テリー 半生を振り返った書籍「選ばれる女におなりなさい」(講談社)を読むと、特に戦中戦後の生活は大変だったみたいですね。

デヴィ ええ、戦争が終わって、疎開先から東京に戻ってきた時のこともよく覚えています。常磐線で上野駅に着いて、地下鉄で青山に向かうのですが、その際に地下道を通らなきゃならないんです。そこが今の上野からは想像もできないぐらい薄暗くて、浮浪者がいっぱい寝転がっていて臭いんですよ。

テリー あぁ‥‥。

デヴィ そこを通る時、私の着物の袖を引く人がいたんです。「キャーッ!」って声を出したら、それは私より小さい子で、「何かちょうだい」という感じで、こちらに手を出したんです。

テリー そんな光景を見ちゃったら、もう何も言えないですね。

デヴィ その経験から、もし自分を不幸だと感じたなら、自分よりさらに不幸な人のことを思えばいい、と考えるようになりました。この子にはもう親はいないだろうけど、私の家はまだ父と母が生きている。たとえ貧しくても、それはまだとても幸せなことなんだ、と。

テリー 貧しい生活の中、幼いデヴィ夫人はどんなことを考えていたんですか。

デヴィ 満天の星空を見上げて、「いつか外国に出て絶対、歴史に残る人物になるんだ」と思っていました。

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