今さら聞けない「コロナ治療薬」、内科医が「感染〜重篤化」段階別に徹底解説 (3/3ページ)

Asagei Biz

サイトカインの活動を抑えるこの薬は、最も効果を期待できそうです。またDICには抗凝固剤なども有効とみられます」

●血清療法

「ウイルスに対する免疫抗体が含まれている血清、あるいは血漿を感染者に投与する、いわば輸血のような療法です。新型コロナウイルスに驚異的な効果を示すデータが報告されていますが、このデータ自体が、やや厳密さに欠ける印象があります。より厳格な比較試験などを行う必要があるでしょう」

 いずれも可能性は十分だが、精度を上げるにはさらなる研究が必要ということだ。その一方、期待を裏切る薬品も存在する。

「エボラ出血熱の治療薬として開発されたレムデシビル〈商品名:ベクルリー〉は、RNAポリメラーゼの合成を阻害するため、治療薬として特別承認されましたが、厳格な条件下で行われた中国や米国立衛生研究所(NIH)の臨床試験の結果を見ると、期待したものとは程遠かった印象があります。また、HIV(ヒト免疫不全ウイルス)での有用性が認められることから期待されていたロピナビル・リトナビル〈商品名:カレトラ〉は、3月18日の海外医学誌オンライン版にそれを否定する論文が発表され、『新型コロナウイルスにおいては、標準治療(科学的な根拠に基づいて、実際に行われている最良の治療)よりも有効とは言えない』と断じています。今後、臨床の現場でこの薬が使われることはなくなってくるとみられます」

 まさに、コロナ治療薬の現在は「玉石混交」のひと言に尽きる。これらの薬剤から一条の光が見えるのか、それともまったく新しい治療法が生み出されるのか。まだ予断は許さない。

※写真はイメージです

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