齋藤飛鳥「アンダー常連組」からグループのエースへ上り詰めた成長ストーリー【アイドルセンター論】
なぜ彼女たちは「センター」に立ったのか⁉
アイドルセンター論
乃木坂46 齋藤飛鳥(前編)
これまで西野七瀬(https://taishu.jp/articles/-/82242)、白石麻衣(https://taishu.jp/articles/-/83092)、堀未央奈(https://taishu.jp/articles/-/91153)と乃木坂46の歴代センターをこの連載でも取り上げてきたが、乃木坂46の現エースとして真っ先に挙げられるのは、今回取り上げる齋藤飛鳥だろう。
1998年8月10日生まれの齋藤は、グループ最年少の13歳で乃木坂46に加入。今でこそセンターとして表題曲センターの常連になっているが、1stシングル『ぐるぐるカーテン』で選抜(3列目)に選ばれたものの、2nd、3rdと選抜に選ばれない時期が続き、2015年3月にリリースされた11thシングル『命は美しい』以降選抜に安定するまでは、アンダーメンバーとしての活動が多かった。
このことは生駒や白石、西野らエースとして称されてきたメンバーの中でも齋藤のアイドルキャリアがいかに異質であるのかを物語っている。その意味でも齋藤はアンダー常連からグループのエースへと上り詰めるという成長ストーリーを提示した数少ないメンバーのひとりと言えるだろう。
アンダーとして齋藤は『海流の島よ』や『扇風機』でセンターを務めることで、実力と経験を身につけ、2015年1月にファッション誌『CUTiE』(宝島社)で単独表紙を務めると、2月には同誌の専属モデルにも抜擢。
「メンバーの中で最も小顔」と言われる齋藤のスタイルの良さを活かしてモデル業でも注目を集め、同年7月のANNA SUIの2015年秋冬のアジア圏ビジュアルモデルに日本人として9年ぶりに選ばれるなど目覚ましい活躍を見せた。
『CUTiE』の休刊にともない、2015年からは『sweet』(宝島社)のレギュラーモデルとして活動している。2016年11月には初のソロ写真集『潮騒』(幻冬舎)が発売され、20万部を超えるヒットを記録。
以降、選抜の常連になっていた齋藤は、2016年6月リリースの15thシングル『裸足でSummer』で初の表題曲センターに抜擢。生田絵梨花、深川麻衣など復帰や卒業といった何かしらのタイミングでのセンター起用は過去にもあったが、齋藤は19th『いつかできるから今日できる』、21st『ジコチューで行こう!』、23rd『Sing Out!』とセンター経験を重ねたことで、次世代のエースと言われるようになった。
アイドルとして順調なキャリアを歩んでいくなかで齋藤は俳優業の活動も目立ち始める。2016年にドラマ『少女のみる夢』(テレビ朝日系)で星野みなみととみにW主演を果たし、2018年10月には映画『あの頃、君を追いかけた』ではヒロインとして好演を見せると、2020年放送のドラマ『映像研には手を出すな!』で齋藤とは正反対の役回りを演じきり、アイドルからは逸脱した俳優としての表現にも磨きをかけている。
乃木坂46に加入した当初は末っ子ということもありグループを引っ張るというイメージはなかったが、現在では3期生、4期生の加入で年下メンバーも加入したことで、内向的だった齋藤が先輩として後輩をフォローする場面も多く見られ、パフォーマンス面だけではなく精神面での成長も垣間見られる。当人にとっては大きな重荷になってしまうかもれないが、今後の乃木坂46の道筋を作っていくのは間違いなく彼女だということを再確認させられた。
そして、乃木坂46のトップランナーに上り詰めた齋藤は、乃木坂46の海外展開には欠かせない重要な役割を期待されることになる。
(文=川崎龍也)