俳優・奥田瑛二の美学「映画『痛くない死に方』を通して、ちゃんと生きなくてはと考えるように」 (2/3ページ)

日刊大衆

そして、書き込みだらけの台本を引っ張り出してきて、それを眺めながら、生きるということ、死ぬということについて、考えたんです。

■「潔くしないと、時代に申し訳ない」

 僕が死ぬときのことも考えました。2つの希望を家族に伝えてあります。まず、戒名は自分で決める。そして、棺桶は無垢の桐でできたリーズナブルなものにして、それに娘と孫たちに絵を描いてほしい、と。

 この世におさらばを告げるときは……できることなら、ごく普通の感じで「ありがとう。グッバイ、またな」とあいさつをして逝きたいなぁ。

 僕は死ぬ年齢をもともと98歳に設定していました。でも、コロナ禍があったので3年延長して、101歳にしました。今、70歳ですから、最期にそう言えるようには、あと31年をどう生きるのかが大事になる。

 我々、団塊の世代は、明治生まれの祖父母と戦争を経験した両親のもとで育ち、昭和、平成、そして令和を生きてきました。東京オリンピックも、バブルも知っている。仕事をバリバリやり、酒を飲み、思う存分やってきたわけだから、みっともなくあがいちゃいかんと思うんです。潔くしないと、時代に申し訳ない。

 幸い、義理の息子や娘たちは、我々、団塊世代を見て大人になり、因子を受け継いでくれているから、パワーがあります。彼らはコロナ禍でもおじけづくことなく、エネルギーを失うこともなく、でも慎重に、前へと進んでいる。あいつらが将来を支えていくと思うと心強いですよ。元気が出ます。

 健康面については、ありがたいことに妻と娘たちが口うるさく言ってくれます。水を1日2リットル飲め、とかね(笑)。最初は「そんなに飲めるか!」って抗っていたんだけど、だんだんと慣れてきて、今では「今日はもう1リットル以上飲んだよ」なんて報告するようになった。だから家族には「今後もしつこく言い続けてくれ」って頼んであります(笑)。

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