山下智久をアイドルから「普通の男の子」に戻す「純レバ丼」とは?

日刊大衆

山下智久
山下智久

第107回 中華料理店「菜苑」

 アイドルだって飯を食う。修行時代に糧としたメニューはことに一生ものである。時折思い返しては食べに行く、というエピソードに触れる度に、『青春グルメ』の重要性を肝に銘じている。前回登場した亀梨和也とはジャニーズJr.時代の同期で、「相棒」とも呼ばれるスターに山下智久がいる。ところが、2020年10月31日付けで山下はジャニーズ事務所を退所。山下が辞めたため、亀梨とのユニット「亀と山P」も事実上の解散となった。

 以降の山下の活躍ぶりは、ジャニヲタでなくともとくと承知だろう。活動の場を海外にも広げ、Huluで配信されたドラマ『THE HEAD』では主役級で出演。大ヒットを記録し、シーズン2の制作も発表された。

 また、主演を務めた米仏日の共同制作による『Drops of God/神の雫』も、同じくHuluで今年中には配信が予定されている。さらには4月からWOWOWで放映が始まる日米合作ドラマ『TOKYO VICE』では、カリスマホストを演じるという。

■「YOUもう不良だよ」

 このように亀と山Pのキャリアの間にかなり懸隔が生まれたが、二人の友情を確認する上で格好の番組があった。17年5月19日放送の『日テレプッシュ』だ。『「亀と山Pとクリームシチュー」2人だけで運命の場所を巡る旅へ』と題し、そこで二人は亀梨の愛車で青春の思い出の地を巡った。まずJr.時代にダンス練習やレコーディングで使用した、麻布十番の「つづきスタジオ」を訪問。

 亀梨はスタッフに「ホウキではいたら残るジュニアじゃない」と言われ、ジャニーズを辞める決意を固めていたが、ジャニー喜多川にスタジオの非常階段に呼び出され、辞めるのを引き止められたという。

 山下も同じ頃、舞台出演を拒否し、ジャニーに「YOUもう不良だよ」と言われた反抗期エピソードを披露した。そして、次は山下が運転し、亀梨も行ったことがあるという亀戸の中華料理店「菜苑」へと向かった。

■ミリオンセラー『青春アミーゴ

 山下は千葉県松戸市の出身で、亀戸はわりと近所だ。地元の友達みんながディズニーランドに行ってるのに、自分だけ行けないことに、「距離感を感じた」と当時の心中を明かした。

 自ら11歳でジャニーズ事務所入り志願をした山下だったが、思春期を迎えるにつれ、「アイドルが恥ずかしかった」という。亀梨はそんな山下に、「山P=可愛いだもんね。つねに可愛くいなくてはいけなかったから、反動があったのかも」と述べた。

 05年のドラマ『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)での共演をきっかけに、KAT-TUNNEWSという別グループにいた二人だが、デュオの「修二と彰」を結成。ドラマの主題歌『青春アミーゴ』はミリオンセラーの大ヒットを飛ばす。しかし、それまでにはめいめい葛藤を抱えていたのだ。

 番組の後段でタイトル通り、二人は『野ブタ』のロケで使った台東区の閉校した中学校まで出向き、亀梨宅で母が作ってくれたクリームシチューをあらためて食べるのだが、それはまた別の話。「誰にも相談できない」悩みに苦しんでいる時、菜苑で食べる名物の純レバ丼が、山下に「普通の男の子」らしさを取り戻させていた。

■純レバ丼が看板メニュー

 この純レバ丼を出す店は他に都内にいくつか存在するが、すべて亀戸の菜苑とは縁戚関係にある。筆者はいつも浅草千束通りの「味の工房 菜苑 本店」か、それ以前には同じ浅草でもすしや通りの、本店創業者の次男が経営する「あづま」で食べていた。

 純レバ丼は本店の先代店主が考案したメニューで、筆者は未亡人からその経緯もヒアリングしている。ところが、あづまは17年、自ら出した火災を契機に休業の後に閉店。本店も19年の区画整理で閉店を余儀なくされたが、少し離れた場所に再オープンし、店名も「ニュー菜苑」と改まった。そちらは未訪問だが、変わらず純レバ丼が看板のようだ。

 といった事情もあり、最近では多くのグルメ本や記事に亀戸の菜苑ばかりが取り上げられる。それで嫌気が差したのか(コロナ禍の合間というのもあったが)、一昨年に取材申請した際、ピシャリと断られてしまった。この純レバ丼はVシネマの帝王、小沢仁志さんの好物でもあり、彼と町中華数軒を巡る某誌の企画で交渉したのだが、やむなく別の界隈の店を選んだ次第だ。

■下町らしい濃ゆめの味つけ

 純レバ丼とは名の通り、甘辛く炒めた鶏レバーがこれでもかと飯の上に載り、刻んだ長ネギがてんこ盛りされるだけの、ウルトラシンプルな料理だ。

 しかし、新鮮なレバの微妙にレアな食感、下町らしい濃ゆめの味つけ、程よい油っこさと後を引く旨味で、小沢仁志なら秒速で平らげてしまうだろう。もっとも、四十路を迎えて以降、ぼくはもっぱらその他惣菜とともに皿でもらい、ひたすら酒の僕とさせている。これがまぁ、暑い夏の盛りなど驚異的にビールを促すのである。

 「青春アミーゴ」にもまだ至らぬ、悶々とした時期の山下が純レバ丼を喰らい、気力を補っていたのはよく理解できる。これは別に老若男女を問わず、食す者の心身を目覚めさせるメニューなのだ。レバーの効果だけでなく、見事細マッチョに肉体改造もしたことだし、小沢さんとバトルしてもイーブンに戦えそう。山Pも海外にばかり目を向けず、ぜひ日本映画でもキレのいいアクションを見せてほしい。

「山下智久をアイドルから「普通の男の子」に戻す「純レバ丼」とは?」のページです。デイリーニュースオンラインは、修二と彰青春アミーゴ小沢仁志野ブタ。をプロデュースNEWSエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る