ローカル番組好調で関西芸人の大阪回帰が進行中

2015.01.23 10:50 デイリーニュースオンライン

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　テレビバラエティの世界では、昔から東京キー局の力が圧倒的だった。東京で作られる番組の多くは潤沢な予算で作られていて、日本全国にネットされている。出演者の顔ぶれもセットも豪華で、内容も練りに練られている。そんな東京の番組に対して、地方制作の番組が太刀打ちできるはずがない、というのが一般的なイメージだった。

　実際、地方局で制作されるのは地域密着型のニュース番組や情報番組が多く、エンタメ要素の強いバラエティ番組はあまり作られていなかった。予算も少なく、ノウハウも蓄積されていないため、良質な番組が作られる可能性は低かったと言っていい。

　ところが、最近、地方で作られているバラエティ番組がしばしば世間の話題となっている。地元で熱心なファンを持ち、人気を博している番組が日本各地に存在しているのだ。その中には、東京のテレビで活躍する有名なタレントが出ている番組もある。ローカルバラエティ番組は確実に面白くなってきているし、注目度も高まっている。このような状況が生まれたのはなぜだろうか。

　第一に、昔と比べて番組制作のコストが下がったことが挙げられる。テレビカメラや編集機材が安価になり、予算の少ない地方局でもそれなりのクオリティの番組を作れる環境が整ってきたのだ。

　ただ、いくら撮影・編集のコストが下がっても、それだけで番組制作費が激減するわけではない。制作費の中で大きな割合を占めるのは、タレントの出演料。地方局では、そこにお金をかけられない分、企画力でカバーしようとすることになる。そこで知恵を絞ることで、東京キー局に負けない独創的な番組を作ることができているのだ。

勢いを増すローカル番組

　東京キー局のバラエティ番組のマンネリ化も、ローカルバラエティの発展にひと役買っているのではないかと思う。かつては、日本で一番面白いのは東京の番組、というのが当たり前だった。

　だが、今はそうではない。東京の番組では大きな予算が動く分だけ、企画も守りに入った手堅いものが多くなる。ゴールデンタイムでは、特にその傾向が強い。クイズ番組が流行れば各局がクイズ番組を一斉に作り始めるし、外国人が出る番組が流行ると似たような形の番組が次々に作られる。

　守りに入るあまり、企画が画一化していて、新鮮さがなくなってきている。それに物足りなさを感じる視聴者が増えているのではないだろうか。

　また、物足りなさを感じているのは視聴者だけではなく、タレントも同じだ。東京のバラエティ番組での活動に限界を感じて、地方に流れる芸人やタレントが増えてきている。特に近年では「関西芸人の大阪回帰」がますます進んでいる。

　もともと、明石家さんま、島田紳助など、全国区で活躍する関西芸人が、東京での活動と平行して、関西ローカルのレギュラー番組を持つというケースはあった。

　現在では、彼らに続けとばかりに、今までなら東京以外の番組に出ていなかったような有名芸人が、続々と大阪でレギュラーを持っている。千原ジュニア、岡村隆史、松本人志などがその代表だ。彼らにとって関西は馴染み深い場所。たとえ少々ギャラは安くても、のびのびと仕事をするにはちょうどいいのだろう。予算が限られている分だけ、企画にも柔軟性があるし、作り手と出演者の距離も近いのだ。

　そして最近の特徴としては、大阪以外の地方局の躍進が目立っている。北海道から沖縄まで、全国各地で個性豊かなバラエティ番組がたくさん生まれているのだ。

　例えば、福岡ではゴリけん、パラシュート部隊が出演する『ゴリパラ見聞録』（テレビ西日本）という番組が人気だ。2014年5月に福岡で行われたDVD発売記念イベントには、約3000人ものファンが詰めかけた。

　こういう番組の先駆けとなったのは、何と言っても『水曜どうでしょう』（北海道テレビ）だろう。この北海道ローカル番組は熱狂的な支持を得て、その人気は全国レベルにまで広がり、ローカルタレントだった大泉洋は全国区で通用する俳優になった。『水曜どうでしょう』の成功が、ローカルバラエティの面白さが世に認められる大きなきっかけになったのは間違いない。

　地方アイドルが続々生まれたり、ゆるキャラが全国各地に現れたり、地方のカルチャーが年々盛り上がっているのは事実。テレビバラエティの世界も、東京独り勝ちの時代ではなくなりつつあるのだ。