『ガッチャマンクラウズ』新時代のヒーロー論 (2/3ページ)

あにぶ

■ヒーローってなんすかね!?

ガッチャマンクラウズで描いているのは、正体不明の巨悪に立ち向かうかつての勧善懲悪としたただのヒーローの物語ではなく真の正義とはなにかを問いかける新時代のヒーロー論。

特に本来、主人公であるはずのはじめがまったく正義のヒーローっぽくないところと逆にガチガチに正義感に囚われている清音との対比がこの物語のキモとなる部分だろう。

例えば、清音は正体不明の生命体『MESS』を敵と断定し排除しようとする。彼の正義感故の行動であり、地球の秩序を守ろうとするヒーローのあるべき姿とも言える。
一方ではじめは、そんな『MESS』に対して悠然と対話でコミュニケートを図り、MESSとわかりあえるまでにいたるのだ。

敵だと思ってた相手は実は兄弟だった!? 魔女だと思って戦ってた相手は実は元魔法少女だった!?なんて、どんでん返しが最終話付近で発覚するベタな作品は多くありますが、2話目にして正体不明の敵とまずは対話を図ろうとする主人公もなかなか前衛的だろう。

このような清音とはじめの行動が対比されるシーンは度々見受けられる。電車で席を譲らない若者に叱責する清音と、その人にも事情があると考えるはじめだったり、通行人とぶつかって謝られなかったときの両者の対応だったり。

型破りでお気楽主義なはじめは、命令や指示に従わずに常に本能のまま行動してはGメンバーたちを困惑させてしまいます。しかし、そんなはじめなりの『正義』の行動が時に、メンバーを危険に晒してしまう場面もある。

前時代的ともとれる清音のシステマチックなヒーロー像と、はじめの現代的なヒーロー像。
決してどちらが正しい行動なのかは決めることも、どちらを否定することも出来ないだろう。

はじめは、独り言のように『ヒーローってなんすかね なんなんすかね』と問う場面があるが、そんな真のヒーローってなんなんすかねと考えさせられるメッセージ性がこめられている作品なのだ。

「『ガッチャマンクラウズ』新時代のヒーロー論」のページです。デイリーニュースオンラインは、平野綾浪川大輔宮野真守タツノコプロ内田真礼カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る