source:http://www.shutterstock.com/
穿った見方と思われるかもしれないが、第二次世界大戦の真の主役は小型四輪車である。
同じ世界大戦でも、第一次と第二次とでは戦場の姿がまるで違う。モータリゼーションの半ばで発生した第二次大戦は、その影響で戦線が広大になった。戦車と装甲車を装備した機械化師団の機動力は、敵軍の背後に回ってたちまちのうちに包囲網を形成してしまう。将軍たちはよりスピーディーな判断を求められるようになったのだ。
A師団の援護にB師団を投入したいが、互いの距離は50キロも離れている。至急伝令を出さなければいけない。ところが、司令部には馬しかない。そんな有様では、たとえ何千両の戦車があろうと無意味だ。こういった地味だが重大な任務を迅速にこなせる車両を、最前線の兵士は常に欲している。
だからこそ、あの大戦争の主役は小型車両だったのだ。
■ 「バケツ自動車」の活躍
小型四輪車の戦場での可能性に一番早く気付いたのは、ドイツである。
ナチス総統アドルフ・ヒトラーは、ドイツのモータリゼーションを促進させると同時に、ヨーロッパのあらゆる地形を走破できる万能型の車両の開発に熱を入れていた。これはもちろん、己の野望のためだ。草原だろうと砂浜だろうとアルプスだろうと未舗装の街道だろうと、とにかく場所を選ばない小型車が、当時のドイツ軍には必要だった。
ヒトラーはあの“変人博士”フェルディナント・ポルシェに命じ、軍用四輪車を開発させた。それが『キューベルワーゲン』だ。
フォルクスワーゲン・ビートルをベースに作られたこの車両だが、形状はまるで四角いバケツのようだ。現に『キューベルワーゲン』とはつまり“バケツ自動車”という意味である。プレス加工されたボディー素材を組み立てるというやり方のほうが、もちろん生産性がいい。そして軽量化ができる。
だから『キューベルワーゲン』は、決して出力の高くないエンジン(排気量985cc)を積んでいるにもかかわらず整地で80キロ以上の速度を出した。さらに四輪駆動車ではないものの、走破性の面でも良好なテスト結果を出した。