交通事故における加害者の民事責任としての賠償額は、被害者の怪我や損害に大きく左右されるのだが、そこで重要なのが過失割合だ。
例えば被害者に1000万円の損害が出た場合。その事故自体の加害者の不注意によるものが60%、被害者に40%あったと認定されると、加害者は600万円の賠償を行えば済むことになる。
つまり交通事故の過失割合とは、お互いの不注意の度合いを割合で表したものである。
では、もしも加害者が「悪いのは100%自分です」と主張した場合、この過失割合はどうなるのだろうか。先ほどの例で行くと、1000万円払うことになるのだろうか。
今回はこの問題について加塚裕師弁護士に話を伺った。
■過去の判例に基いて、既にある程度決められている過失割合
まず過失割合がどのように決められるのかを伺った。
「交通事故は、毎年件数も多く、また態様も類似するものが多いことから、過去の事例に基づいて過失割合が類型化されています。この点、実務において参照されているのが、別冊判例タイムズ38号という書籍に掲載されている過失相殺率の認定基準です。基本的にはこれを参照して過失割合を判断することになります」(加塚裕師弁護士)
過去起こった交通事故を、事故自体の類型、当事者の車格等に応じて、事細かく分類されているという別冊判例タイムズ38号。たしかにこれによって過失割合を決めれば、迅速かつ公正な処理が可能となるのだろう。
■自分が悪いと言っても、不足分の賠償額が自腹になるだけ
では「自分が100%悪い」と主張した場合、そもそもその主張は認められるのだろうか。
「自分が100%悪いとの発言が自己の真意に基づく意思の表明であれば、相手方との関係ではその通り拘束力を有することになると思われます」(加塚裕師弁護士)
認められる、つまり過失割合は10:0になると加塚裕師弁護士は言う。がしかし、こうも付け加えた。
「もっとも、任意保険会社は、当事者のそのような発言や意思表明に拘束されるものではなく、あくまで客観的な事故状況に照らして過失割合を判断し、その判断に基づく限度でしか保険金の支払いを行いません。そのため、保険金の支払いがなされない部分は自己負担とならざるをえないと思われますので、過失割合についての意思表示は慎重に行うことが肝要です」(加塚裕師弁護士)
自分が悪いと主張することは、被害者に対しては有効であっても、肝心の保険金を支払う保険会社には無効というのは、確かにその通りである。つまり、意思表明するならば、足りない分を自腹で払う覚悟を持たなければならないということだ。
加塚裕師弁護士の言うとおり、過失割合についての意思表示は慎重にした方がいいのは間違いないだろう。
交通事故の過失割合 自分が100%悪いんですと主張したらどうなる?
2015.11.26 22:00
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