「父が、逮捕された」
衝撃的な書き出しで始まる静岡県の中学2年生、高田愛弓さんが書いた作文が話題になっている。
こちらの作文は、読売新聞が主催する「全国小・中学校作文コンクール」で、第65回文部科学大臣賞を受賞した。
その衝撃的な内容もさることながら、文章力が本当にすばらしい。事実を的確に伝えながら、家宅捜索があったときの非現実感や、登校した際のクラスメイトの反応、そして家族との強い絆が、表現力豊かにつづられていく。
全文は80枚近い長編になるそうだが、読売教育ネットワークのサイトにて一部が公開されているので、ご紹介させていただきたい。
「夢の跡」父が、逮捕された。
自宅には家宅捜索が入った。毎日「いってきます」と「ただいま」を繰り返す門扉は、マスコミ陣で埋め尽くされた。
2015年5月26日、夕刻のことである。
6人の警官が玄関先で卵のパックに収まっているかのように待機する中、母は親戚に電話をして、駅前のビジネスホテルを押さえてもらうと、祖母に連絡を取り、そこから叔母が私を迎えに行くように手筈(てはず)を整えた。
テレビドラマでしか観(み)たことがないようなことが自分の家で起こっている。しかし、私はその現実を巨大なシャボン玉の中から眺めているような違和感でしか受け止められなかった。「渦中の人」は、台風の目の中にいて、時の流れが他と少し違うところにいるものなのだ。
父の容疑は「公職選挙法違反」である。先に行われた市長選挙に、妹である私の叔母を立候補させ、告示前にもかかわらず、「事前運動」を行い、また、その際、ボランティアを雇い、その報酬として金を払ったことが「利害誘導」に当たるというのである。
5月の連休明けに、叔母の陣営を手伝ってくれた市議が任意同行された。市議はその日のうちに逮捕され、マスコミは落選したうえ、違反者を出したと騒ぎ立てた。父はプロの選挙プランナーを雇っており、「選挙に落ちても違反は出すな」と細心の注意を払って取り組んできた。