【シリアの日本人ジャーナリスト拘束】"身代金要求説"はデマだと断定できる根拠と経緯

【シリアの日本人ジャーナリスト拘束】"身代金要求説"はデマだと断定できる根拠と経緯

「筆者が安田純平さんと呑んだときのカット。どうぞご無事で」

 クリスマスイブである12月24日の朝、ジャーナリストの安田純平がシリアで行方不明だと報じる記事をニュースサイトで読んだ。それによると、「シリアの武装勢力が安田さんを拘束し、期限を切って身代金を要求しているとの情報がある」とのこと。出所は「国境なき記者団」ウェブサイト。それを読み終え、僕は「え、なんで今さら」と驚いた。

 彼とは十数年来の旧知の仲。年齢の近い、同業者としていつも彼の仕事ぶりにはいつも注目していた。信濃毎日新聞の記者だった彼は2003年のイラク戦争の取材のために退社、以来フリーで活動している。仲の良い友人たちが共通していることもあって、年に一回会うかどうかという付き合いの薄さなのに、少なくとも僕は彼のことを仲間の一人として見なしていた。

●期限を切って"身代金要求"の怪しさ

 第一報を知ったのは7月のはじめのこと。共通の知り合いであるジャーナリストから、口づてで知らされた。それは「6月下旬、安田さんはトルコ南部からシリア北西部へと山を越えて越境、その後、武装勢力に拘束された。安田さんを拘束した集団はISのような凶暴な集団ではないようだ」というもの。

 越境する直前の6月20日、安田さんが最後に残したつぶやきは次の通り。これから危険地帯に向かう緊迫感が文面から伝わってくる。

『これまでの取材では場所は伏せつつ現場からブログやツイッターで現状を書いていたが、取材への妨害が本当に洒落にならないレベルになってきているので、今後は難しいかなと思っている。期間限定の会員制で取材経過までほぼリアルタイムで現場報告することも考えてたが、危険すぎてやっぱり無理そう。』

 彼の拘束を受け、ジャーナリスト仲間で集まって情報を共有した。そのときにみんなで決めたことがある。それは、彼の拘束について騒いだりアピールしたりすることは基本的にお互いやめよう、というものだ。というのも、「救え!」とかいってアピールしたら「自己責任だ」とか言われて炎上することは予想できたし、炎上したからといって解決につながるような情報が寄せられるどころか、それが障壁となる可能性すらあるからだ。

ピックアップ PR 
ランキング
総合
社会