漫画の中には、長編ではなく「短編漫画」の作品があります。短いページでテーマを描き切り、読者に強い印象を残すというのは、生半可な力量でできることではありません。今回は「短編の名手」という漫画家をご紹介します。
漫画の神様・手塚治虫先生は「16ページあればなんでも描けますよ!!」とおっしゃったそうです(出典:『ブラック・ジャック創作秘話 2』原作:宮崎克/漫画:吉本浩二)。また、
「長編を描くよりも短編を数多く完成させてください。それが上達の早道です」
(出典:『ブラック・ジャック創作秘話 3』原作:宮崎克/漫画:吉本浩二)
とも。この言葉を証明するように、「短編漫画の名手」の作品はやはり長編でも面白いのです。
●手塚治虫
代表的短編漫画集:『ザ・クレーター』
前述のとおり、手塚先生の作品には短編漫画が数多くあります。代表作『ブラック・ジャック』も一話完結の連作となっていて、その1話ごとにきちんとストーリーが帰結していますから、これは登場するキャラクターが固定された短編漫画集ともいえます。ブラック・ジャックは全242話ですが、これだけの数のお話を作れるというのはまさに天才の仕事といえるでしょう。
●藤子・F・不二雄
代表的短編漫画集:『藤子・F・不二雄 SF全短篇』
藤子・F・不二雄先生もまた短編の名手です。そもそも代表作『ドラえもん』が1話完結の物語ですからそれも当然です。藤子・F・不二雄先生には「SF(すこしふしぎ)」と題する一連の短編があります。そのどれもが傑作で、よくこんな短いページでこれほど面白いお話を作れるものだ」と驚かされます。