ジャカルタにタムリン通りという道路がある。人口2億5,000万人のインドネシアの首都を支えるメインストリートだ。
政府省庁の本部や各国大使館、大手銀行本社、有名外資企業などがタムリン通りには集中している。言わばここはジャカルタの“動脈”だ。
もし、動脈をナイフで切られたら、人間は生きていられない。それと同じで、万が一タムリン通りが何者かに破壊されることになったら、ジャカルタは為す術なく命尽きるだろう。
2016年1月14日、タムリン通りは突如として運命の時を迎えた。
■ テロリズムの歯車
平日の午前11時頃といえば、大抵の人々は、もうすぐやって来る昼休みについて思いを巡らせるのではないか。
「今日のランチはどこで食べようか。そうだ、あそこにしよう。あの店のクロワッサン、安くて美味しいからまた買いに行こう。」
何の変哲もない木曜日の光景。だがそれは、雷鳴のような爆発音により破壊された。
タムリン通り沿いにある高層ビル『Menara Cakrawala』の地上1階。ここにはスターバックスコーヒーがある。その店先に、何者かが爆弾を投げ込んだのだ。
それから先は、まさに戦場の景色だった。爆破と乱射が奏でる悪魔の鼓笛音、そして悲鳴。パトカーのサイレンが近づくと、ここはついに戦場と化した。
ジャカルタで再び動き出した、テロリズムの歯車。熾烈な戦闘の風は、遙か中東からインドネシアにまで達したのだ。
■ テロリストの死体
ジャクサ通りという場所がある。ここはいわゆる安宿街で、筆者はここのホステルにいつまでも居座っている。
計ったわけではないが、ジャクサ通りからタムリン通りまでは、徒歩で10分もかからない。
「タムリン通りが大変なことになっている」。