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「そのボタンを押したら、楽に逝ける。」
高度500メートルの高さで風を受けながら、あなたは一人きりで最後の選択を迫られる。
あなたはジェットコースターの黒い椅子に座っているのだ。
最も高い位置にゆっくりと上がるまでの孤独な2分間に、自分の人生を振り返ったことだろう。そして、頂点で動きが止まり、最後の選択が自分に委ねられている。
「FALL」と印字されたボタンを押しさえすれば、そのジェットコースターは猛スピードであなたを黄泉の国に連れて行ってくれるのだ。
それが、『Euthanasia Coaster』(安楽死のコースター)だ。
■ 10Gの重力加速度で「脳死」に至る
この『Euthanasia Coaster』は、遊園地のデザイナーでもあるJulijonas Urbonas氏が設計したジェットコースターだ。
まだ設計段階であり、実現はしていない。
作りは非常にシンプルで、500メートルの高さから一気に下ると、後は7回分の宙返りループが待ち受けているだけだ。
乗り物も、黒い座席がひとつだけである。つまり一人乗りだ。
非常にシンプルだが、頂点から下るときは、毎秒100メートル(時速360キロ!)で落ちていく。その最高速度のままループに突入すると何が起きるのか。
10Gという強烈な重力加速度がかかることで、脳内の血液は全て下半身に向かって移動してしまい、まず視覚を喪失し、すぐに脳低酸素症となり脳が窒息死する。
叫び声を上げている暇もないかも知れない。しかし安らかな瞬死だ。
ループは7回分あるが、恐らく最初のループを通過する際にこの世とはお別れしているので、残りの6回転は遺体が猛スピードで振り回されているに過ぎないだろう。
したがって、叫び声を上げているのは、地上で見守る人たちだけだ。
総走行距離は7,500メートル。2分掛けて上り、1分で下る。