きょうご紹介したいのは、『灘高→東大合格率ナンバーワン 伝説の入江塾は、何を教えたか』(入江伸著、祥伝社)。
まずは、ここがどんな塾なのかをご説明する必要があるでしょう。
■入江塾はただの学習塾ではなかった!
入江塾の正式名称は、伸学社。大阪の帝塚山に1986年まで存在していた学習塾で、塾頭である本書の著者、入江伸氏の名から「入江塾」と呼ばれていたのだそうです。
大阪府立高校の教師だった著者が退職後、中学生向けの通信添削を行なう仕事をはじめたのがそもそもの発端。やがて生徒たちが自然発生的に集まり、直接の講義を受けるようになっていったという流れ。
そして結果的には2~3年後に、塾生のひとりが超難関校として知られる灘高にトップで合格したことから灘高受験希望者が次々と集まり、「入江塾」の名は全国に広まっていったのだといいます。
灘高が55人を募集したある年には、合格者のうち30人が入江塾の出身だったこともあったのだとか。それどころか、高校生も教えるようになってからは、入江塾で学んだ灘高生の九割近くが東大へ進学したというのですから驚きです。
しかも注目すべきは、閉塾までの30年間にわたり、入塾のための審査や試験をいっさい行なわなかったこと。
やる気がある子であれば、成績にかかわらずすべて受け入れたというのです。
また、単なる進学塾とは違い、人間形成に重点を置いていたことも注目に値するでしょう。著者の塾運営の目的が、「勉強の成果のみの追求ではなく、少年らしい、健やかな自主性の養成」にあったためだといいますが、その姿勢は学習塾の枠を大きく超えています。
しかし、だからこそ多くの実績を生み出すことができたのだともいえるはずです。
本書は、そんな著者が過去に送り出してきた『入江塾の秘密』(昭和49年初版)、『奇跡の国語』(昭和53年初版)、『奇跡の入江塾方式』(昭和55年初版)の3点から部分的に抜粋して再構成したもの。
現代の受験や教育にも通じる、重要なエッセンスが盛り込まれています。