門出のときを間近に控えると、その場所で過ごしたとりどりの思い出が頭に浮かび、誰しも切なさで胸がいっぱいになるもの。しかも、長く過ごした土地を離れることになる、高校卒業という区切りにおいてはなおさらです。 もちろん、旅立ち前の感傷に浸らずにおれないのは、楽しい時間を共有してきた「見送る側」も同じこと。新しい土地での生活をスタートさせた後も、ふるさとを誇りに思う気持ちを忘れることなく、いずれは地元に戻ってきてほしいと願っています。
豊かな自然、ゆったりとした時間の流れは大野の宝
そんな日下さんが手掛けた楽曲のタイトルはずばり、『大野へかえろう』。回数にして約50回、のべ3か月もの間、このまちに滞在したことで、肌で感じた大野の魅力をそのまま歌詞に落とし込むことができたといいます。
まず歌い出しは「山が世界を切り離し 世界はこの町だけのよう」。日下さん本人が、「同じ会社の大野出身の先輩に、『高校の時にまさに感じてたことやわ』って言ってもらえました」と明かしますが、冒頭のみならず、全編、大野にぴったりと寄り添うことで生まれた言葉で綴られているのがわかります。
さらに歌詞を見ていくと、「自然にあわせて時は過ぎ 人はゆっくり生きている 夕日が田んぼを照らしてる 里芋の葉が揺れている」と大野での暮らしを美しく描写したかと思うと、続く「小さな町の子どもたち 夢を求めて出ていくの」では聴き手の胸を小さくざわめかせます。
もちろん、そのざわめきがあってこそ、やがて到来するサビの「広い世界に出るといい いつでも大野は待っているから」によって、聴き手はより一層強く胸を打たれるのです。
大野市にそびえる標高1,523メートルの荒島岳(あらしまだけ)。別名を大野富士とも。