人権団体の「AV女優強制出演」報告書が各方面から非難される理由【3】

人権団体の「AV女優強制出演」報告書が各方面から非難される理由【3】

 過去2回、人権NGO団体『ヒューマンライツ・ナウ(以下HRN)』のAV弾圧としか受け取れない報告書や記者会見への反論を書いたが、今回はそれらを踏まえた上で「ではAV業界にはまったく落ち度がないのか」という点について考えてみたい。

■AV業界の元は映画界と芸能界

 まずはじめに、この日本という国は表の世界は警察が、裏の世界はアウトロー(主にヤクザ)が目を光らせ、表の世界ならば法律を、裏の世界ならばしきたりを守らせることで、安全を維持してきた。この両輪が揃っていた昭和の時代には、ヤクザには芸事・文化の守護者という一面もあり、そういう時代だったからこそ、力道山の時代のプロレスなど、山口組の田岡組長や、昭和のフィクサー・児玉誉士夫氏の名前が、著名な代議士の名前と並んで登場するのだ。ところが、暴対法が成立すると警察がここぞとばかりにヤクザの弾圧を始め、ヤクザは社会の絶対悪とされた。

 ここで問題なのが、ヤクザ組織に対する締め付けは強化されたものの、芸能・興行など裏社会の人間の領分とされたものがグレーゾーンのまま放置されてしまった点だ。これによって、どこがキレイな業界でどこがヨゴレの業界なのかといった基礎知識が欠落してしまったように思う。

 なぜこんな説明から入るかというと、AV業界は映像作品の制作という面では映画界(後にTV界も)が、タレントの管理と仕事の斡旋という面では芸能界が、それぞれ元になっている。これらが昭和の時代にはどういう業界だったか、ある程度の年齢の方ならば言わずともご理解いただけるだろう。そもそもの手本とした業界自体が "キレイ" な世界ではないのだ。

 ただ、芸能とAVが絶対的に違うのは、芸能界は裏社会との直接の繋がりさえ見えなくすれば、一応は「法律を守ってクリーンに活動しています」という言い訳が可能であるということ。対してAVの業界は、前回の記事で説明したように、新法など作らずとも何かしらの法律に抵触してしまう "ヨゴレ" だ。

 だからこそ、システム的には同じことをやっていても、また裏稼業の人間が跋扈するという面で共通していたとしても、AVだけは助からない。これを基本として覚えておいていただきたい。

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