3年に及ぶ不妊治療、2度の流産。自身の不妊治療奮闘記を綴った『俺たち妊活部』の著者・村橋ゴローが、最終回となる“奇跡の出産とその騒動記”をお伝えします。
■深夜に起きた、突然の破水!
夜中の12時から始めた、日課である晩酌をしながらの名づけも、午前2時を過ぎると今日もきょうとて酩酊し名前も結局決まらず、これまたいつものようにYouTube散策に切り替えた。
「遂に来週か……」
出産予定日を1週間後に控えた8月17日未明、スチャダラパーのライブ動画をぼんやりと眺めていた、そのときだった。寝室からリビングにやって来た妻は、眠い目をこすりながら、トイレに。
1分ほど経ちリビングに戻ってきた妻は、そのまま寝室に向かうでもなく僕の前に立った。
「ん? どした?」
「ハスイしたんだけど」
「ん? ハスイ?」
突然のことと酔っているのが重なり、その言葉が上手く漢字変換できずにいた。
「えっ!? ハ、破水!?」
「そう、破水よ」
「な、なんで? だって予定日は来週じゃ……」
「なんでかなんて、アタシにもわかんないわよ! とにかく、そういうこと! 病院に行くわよ!」
■立ち会い出産をするかどうか、決めていなかった…!
登録しておいた陣痛タクシーを手配すると、5分ほどで家に到着。乗り込み、産院へ。
流れる車窓を眺めていると、ビルや信号が二重三重に見える。やばい、完全に酔っぱらっている。
大事な出産だというときにこれでは、自分が立派な父親になれるとは到底思えない。というかまだ、立ち会い出産するかどうかも決めていない。
できれば、そんなもの見たくない。怖い怖い怖い。
病院に着く前からパニックにかられた僕は、「景気づけにハイボールでも飲みたいんだけど、コンビニ寄っていい?」と妻に訴えたかったが、必死に口をつぐんだ。
午前4時、産院に到着。午前5時、本格的な陣痛が始まった。いきむ妻の手を握り、応援するしか僕にできることはない。