−−ホームレスを集めて生活保護を受けさせ、その大半をピンハネする貧困ビジネス。なぜ、彼らは逃げ出さずに集団生活を続けているのでしょうか?
長田 私が潜入した『ユニティー出発』の寮では、各自に与えられる個室は2〜3畳ほどで、食事は安価なレトルト、クーラーや風呂には使用制限があり、快適な生活空間とは言い難い環境でした。しかし、施設利用料は生活保護費から出すので、三食昼寝付きの生活ができるのです。食事も用意されており、お小遣いとして月に2万円手渡されるのですが、使い果たしてしまっても食べることには困らないので気楽なものです。中には自分の生活保護費を徴収されてしまうことに抵抗がある人や、寮の生活になじめないなどの理由でトンコ(逃亡)してしまう人もいますが、寮での生活が気に入って何年もそこに滞在するというケースは多分にあるのです。一種の怠け病にかかってしまい、私はそれを「ユニティー病」と呼んでいます。
−−生活保護に対する役所の対応にも問題があるようですが…。
長田 本来、生活保護を受けると、64歳以下で病気や障害など就労阻害要因がなければ、就職活動をして働かなくてはいけません。月に一度『求職活動状況報告書』を提出する義務があるのですが、ユニティーの入所者たちは、こぞってこの書類に「いつどこへ面接へ行った」と、ウソを記載して提出していました。対応する桜区福祉課(さいたま市桜区)はそれを知ってか知らずか、何年も見て見ぬふりをしている状態でした。そのため、入所者の中には20〜40代という働き盛りの年代で、特にケガも障害もないのに、何年も生活保護を受けているという人が少なくないのです。これは完全に福祉事務所の怠慢です。桜区福祉課の担当ケースワーカーは、それを自ら認めています。
−−多くの生活保護者と接していますが、どのように感じましたか?
長田 彼らは目に力がなく、何がなんでも自力で生きていこうという闘争心がありません。失業、けがなどの事情で仕事ができなくなった人が多いのですが、当初は働けるようになったら自立しようと考えていても、毎月お金がもらえて、医療費、納税免除などの待遇を受けると、働くよりも生活保護の方がマシという逆転現象が起こってしまい、制度が自立する意欲を奪っている一面もあります。賢い漁師は子供に魚を与えないで魚の獲り方を教えるといいますが、生活保護での支援はその逆をしているのです。
(聞き手/程原ケン)
長田龍亮(おさだ りゅうすけ)
1980年生まれ。東京都北区在住。偶然に手にした求人情報誌で「ユニティー出発」を知り、その世界に足を踏み入れる。以降、生活保護の狂った実態を取材し続け、『実話ナックルズ』などでレポートを発表している。
話題の1冊 著者インタビュー 長田龍亮 『潜入生活保護の闇現場』 ミリオン出版 1,000円(本体価格)
2016.05.29 18:00
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