梅雨のころから、食あたりや食中毒のニュースが増えてきますが、外食店での食事が原因かと思いがちです。臨床内科専門医で正木クリニック(大阪市生野区)の正木初美院長は、「ニュースにはなりにくいようですが、自炊の食事シーンで発生することも多く、注意が必要です」と話します。詳しく聞いてみました。
■手作りの総菜、作り置きのカレーに注意食あたりや食中毒の原因について、正木医師は次のように説明します。
「細菌、ウイルス、自然毒、化学物質、寄生虫などが付着した食品を食べたことが原因で、激しい腹痛、下痢、おう吐、発熱などが起こった場合、医学的には『食中毒』と診断します。一般的に言われる『食あたり』とは医学用語ではありません。もっとも食中毒を起こしやすいのは肉類や魚介類、卵などの生鮮食品で、特に加熱していない料理に多く見られます」
自炊の料理でも食中毒にかかるとのことですが、具体的にどのような食べ物で起こりやすいのでしょうか。正木医師は、患者さんの事例や医学会の報告から、次の3パターンを挙げます。
(1)おにぎり、寿司、サンドイッチ、弁当、菓子などの「手作り総菜」自分の体にある傷やニキビ、吹き出物などを触った手で調理すると、ヒトの皮ふや鼻、口に住む「黄色ブドウ球菌」が付着しやすくなります。
この菌が作る毒素は熱に強く、加熱しても食中毒を防ぐことはできません。食後30分~6時間で、吐き気や腹痛などの症状が出ます。
(2)生卵、半熟卵のオムレツや親子丼、焼鳥など、十分に火が通っていない肉や野菜などの「加熱不足メニュー」加熱不足は、さまざまな細菌やウイルスが原因の食中毒を引き起こします。食中毒のもととなる細菌やウイルスは、乾燥に強くて熱に弱い種類が多いので、食材の中までしっかりと火を通せば、予防できる確率が高くなります。
十分に加熱されていない卵、肉、魚は「サルモネラ菌」、肉、特に鶏肉や牛レバーは「カンピロバクター」、肉や生野菜は「O(オー)157やO(オー)111などの腸管出血性大腸菌」、カキやアサリなどの二枚貝は「ノロウイルス」にかかりやすくなります。