今では覚えている人が少数派のような気がするが、日本銀行は黒田東彦氏が総裁に着任した2013年春の時点で、
「2年間でインフレ率を2%にする」
と、いわゆるインフレ目標を掲げた。
インフレ目標2%の宣言からすでに3年が経過したわけだが、日銀のインフレ率の指標であるコアCPI(消費者物価指数から価格変動の大きい生鮮食品を除いた指標)は、直近の数値で何と▲0.3%。日銀は4月の金融政策決定会合で、インフレ目標達成時期を「2017年度中」に先送りしたが、もはや誰も信じてはいまい。
黒田日銀総裁は6月20日、慶応大学で講演し、2%のインフレ目標について、
「2年程度での実現はできなかった」
と語り、期限を示した理由について、
「5年先なのか、10年先なのか、時期を定めないと実現に向けた政策が決まらない」
と説明。2%のインフレ目標について、「政策を決めるために時期を明示した」にすぎない事実を明らかにした。
一体、「インフレ目標」設定時のあの熱狂は何だったのだ。という話だが、そもそも政府が緊縮財政を推進している反対側で、中央銀行がどれだけ金融緩和を拡大したところで、デフレ脱却を果たせるはずがない。
本連載で繰り返してきたが、デフレーションとは「総需要の不足」という経済現象だ。総需要とは、具体的には消費と投資。細かい話をすると、民間と政府の消費、設備投資、住宅投資、公共投資、そして純輸出の総計こそが「総需要」なのである。
消費や投資とは、モノやサービスを「買う」ことを意味する。デフレーションとは、バブル崩壊後に国民が借金返済と銀行預金を増やし、消費や投資が減ることで発生する。厳密には、バブル崩壊後と政府の緊縮財政(増税、政府支出削減)が重なることで、国民のモノやサービスの購入が激減することで起きるのだ。
デフレーションとは総需要(消費+投資)の不足である。国民がお金を使わないことが合理的なデフレ期に総需要の不足を解消するためには、政府が財政を拡大するしかない。それにもかかわらず安倍政権はデフレ対策を日本銀行に丸投げし、自らは緊縮財政路線をまい進。'14年4月の消費税増税で民間の消費を減少させ、さらに自らも消費や投資を削った。
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第181回 日本銀行の責任転嫁
2016.07.08 10:00
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