『悩みごとの9割は捨てられる』(植西聰著、あさ出版)の著者は、資生堂勤務を経て独立し、現在は人生論の研究に従事しているという、少し変わったキャリアの持ち主。
「成心学」という独自の理論を確立し、“人々が明るく元気になる”著述活動を続けているのだそうです。
人には、自分で自分を慌ただしい気持ちにさせるところがあるもの。しかし人生は、いくら慌てたところでどうなるものでもありません。
どんなに悩んでみたところで、事態が大きく改善するわけでもないわけです。
むしろ楽天的に、のんきに生きていくほうが賢く、人生はより豊かになる。それが著者の根本的なメッセージです。
そして本書では「楽天的になる」という趣旨のもと、「自分を悩ませていることの9割は取るに足らないことであり、捨て去ってよいものである」と気づくためのヒントを紹介しているわけです。
数字に関する大切なテーマ、すなわち「お金」に関する考え方を引き出してみましょう。
■お金は精神的なゆとりを持つことが大切
「金はよい召使いでもあるが、悪い主人でもある」
ここで紹介されているのは、アメリカの政治家であり、科学者でもあったベンジャミン・フランクリンの言葉。
お金は、いい使い方をすれば、生活を便利で楽しいものにしてくれます。そして、より充実した生活に役立ちもするでしょう。
しかしその一方で、「もっとお金がほしい。もっと金儲けをしたい」と、金の亡者になってしまうこともあります。
そうなると、結果的にはお金のためにこき使われ、お金に振り回され、お金のために悩まされることになってしまうもの。
まさにお金という「悪い主人」に仕えるようなものなので、それでは本当に意味で幸せな暮らしとはいえないというわけです。
お金に対して、心にゆとりがあるときは、お金を「よき召し使い」として上手に扱っていくことが可能。
ところが、お金儲けのことしか頭になくなり、精神的なゆとりがなくなっていくと、お金は「悪い主人」になるということ。