世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第189回 なぜ日本はデフレ脱却できなかったのか?

| 週刊実話

 来る9月20・21日に、日本銀行は金融政策決定会合において、2013年以降の金融政策について「総括的検証」を実施する予定になっている。
 日本銀行は'13年1月、物価安定目標を消費者物価(※厳密には、生鮮食品を除く総合消費者物価指数)の対前年比上昇率2%と定め、可能な限り早期に実現するという約束をした。いわゆる「インフレ目標の設定」だ。
 インフレ目標を設定し、日本銀行が(主に)国債を買い取り、日本円を発行し続ける量的緩和政策を実施。'13年春と比較し、すでに250兆円もの日本円が新たに発行された。
 ところが、直近のインフレ率は▲0.5%−−。なぜこのような事態になったのか、さすがに総括が必要な局面である。

 本稿執筆時点で、日本銀行の審議委員たちは「三派」に分かれてしまっている。すなわち、マイナス金利政策を推す黒田総裁派、量的緩和の拡大を主張する岩田副総裁ら、いわゆるリフレ派。さらには、追加的な金融緩和に反対する審議委員たちの三派である。
 三者の意見がバラバラで、統一的な見解に仕立てることが困難であるため、総括検証では三者の意見を織り交ぜた「玉虫色」になるのではないかと噂されている。

 もっとも、本質的な問題は、
 「日本銀行の金融政策の効果」
 「果たして、どの政策が的確なのか」
 といった戦術的な話ではない。3年半かけて250兆円を超す日本円を新たに発行したにもかかわらず、なぜインフレ率がマイナスに戻ってしまったのかについて、日本銀行は「正直に」説明する義務があるのだ。
 国民や政治家が、インフレ率が上がらない理由を正しく理解して初めて、わが国はデフレ脱却に向け、歩みを進めることができる。原因を正しく認識しない状況では、問題を解決することは誰にもできない。

 しつこいほど繰り返したのだが、お金を発行する「だけ」でインフレ率が上昇するはずがない。インフレとは、われわれが生産者として働き、生産するモノやサービスの価格(=物価)が上昇することなのだ。そして、物価が上がるのは、モノやサービスが買われたときである。あるいは、「買われる」ときに、初めてわれわれは物価を引き上げることができる。
 日本銀行が量的緩和政策により250兆円で購入したのは、主に国債である。

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