「昼間に幽霊って、見た事ありますか......」
イデマチは、話を切り出した。
八日ぶりの内地は、肌寒かった。
わたしは、沖縄の離島でトラブルに巻き込まれて、その後始末に追われていた。おまけに、飛行機を乗り過ごしてしまい、予定が大きく狂ってしまった。
空港に到着した時には、すでに真夜中だった。真夜中の空港は、すこし秘密めいている。
だが、わたしは、迎えを頼んでいた。
「前田さん!」
見覚えのある男が、わたしを目指して近づいてくる。
イデマチだった。
わたしたちは、大きな笑顔で握手を交わした。
彼は、大学生である身分を活かして、演劇活動に携わっている。そして、わたしといっしょに、怪談を集めている仲間でもある。
わたしたちは、それぞれの近況を報告してから、駐車場に向けて歩き出した。
イデマチが、言った。
「この後、時間ありますか?」
「ああ。朝まで付き合うよ」
わたしたちは、オレンジ色のヴイッツに乗り込んで、夜を過ごす事にした。もちろん、ちゃんと礼を言ってから、お土産のスパム缶を渡した。
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イデマチは、つい最近まで、とある自動車教習所に通っていた。
彼は、そこで出会った方々に、「なにか、車関係で不思議なことってありますか?」と聞いて回っていた。
すると、ひとりの教官が、こんな話をしてくれた。
彼のことを、Sさんとする。
「こんなことがあったな」
その教習所では、無線教習を行っていた。この教習は、たったひとりで教習車を運転して貰う為のものだ。教官は、無線塔と呼ばれる櫓のような建物から、指示を飛ばす。教習生は、無線から流れる指示に従って、教習所内のコースを運転しなければならない。
ある晴れた午後のことだった。
Sさんは、無線塔から、教習生たちが乗っている教習車を指導していた。ところが、一台の教習車が、コース半ばの交差点を目の前にして、停まってしまった。
教習車には、○○さんしか乗っていない。