近鉄と日本ハムで2度のリーグ優勝。両球団の9年間でAクラス入りは6度。楽天が経験豊富な梨田昌孝監督を新指揮官に迎えて、10月8日で丸1年が経った。
梨田監督はシーズン終盤にNPB史上19人目の監督通算700勝を達成。名将の下、3年ぶりに最下位から浮上した梨田楽天の今シーズンを簡単に総括したい。
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■「動かざること山の如し」でチームに日常を取り戻した
戦国時代の戦上手・武田信玄が、孫子の兵法書から旗指物に用いた「風林火山」。その教えに例えるなら、今季の梨田楽天は「動かざること山の如し」といえそうだ。チーム再建へ、「山」であることがいかに重要か、過去2年間を思い出すと痛感する。
“過去2年間”は非常時だった。2014年は星野仙一監督が国の指定する難病にかかり、約2カ月の病気療養。短期間ながら、監督代行は佐藤義則投手コーチから大久保博元2軍監督へと代わるなど迷走した。
大久保監督が就任し、一致団結で仕切り直した2015年は「Smart & Spirit 2015 一致団結」のスローガンとは裏腹に、田代富雄打撃コーチのシーズン途中での退団などもあり、チームは瓦解した。
■開幕から打順をほぼ固定した
今季の梨田楽天は過去2年にはない「落ち着き」を取り戻した。梨田監督は開幕から泰然自若だった。オーダーがそれをよく表している。
昨季は開幕戦で中軸に座った新外国人が開幕2戦目にスタメンから外れ、4番には、実に7人を起用するなど最後まで陣容が定まらなかった。しかし、今年は猫の目打線と決別。選手個々の好不調による変更はあれど、開幕から打順をほぼ固定した。この傾向はシーズン通して不変だった。
チームが4月10日までリーグ1位に立つことができた背景には、この期間、デーゲームとホームゲームが多く、チーム全体、選手個々がコンディションを整えやすかったことも挙げられる。さらに打順を固定したことで選手に役割意識を持たせ、試合に臨むルーティンが明確化になったことも大きかったはずだ。