会社の節税を考える際、真っ先に税理士が提案することの一つに、社長の自宅を社宅にすることがあります。社長の自宅を社宅にすれば、社長の自宅に係る家賃を法人の経費とすることができる一方で、社長から会社からもらうべき家賃は相場に照らして極めて少額になることが通例だからです。
この節税は広く行われていますが、注意点として、このような節税が許される理由は、それが会社にとって福利厚生費に該当するからです。
■福利厚生費の真実
福利厚生費とは、従業員などの福祉向上や勤労意欲を高めるために支出される給与以外の費用を意味します。給与以外の費用というのが重要であり、特定の従業員や役員だけに利益を与えたり、行き過ぎた利益を与えたりするようなものは、福利厚生費とは言えないと言われます。
社宅にこれを当てはめてみると、例えばプール付きの住宅など、社長にとって極めて高価な住宅を社宅にするとなると、特別な利益を与えているため、社宅の家賃は社長に対する給与と変わらない、といった指導を国税から受けることになります。
■自分で選ぶのもまずい
特別な利益を与える、という意味で問題になるのは、例えば従業員が個人的に住居を探し、気に入った住居について法人契約をして社宅扱いとする、というケースです。このような場合には、その従業員の個人的なし好を優先させているため、特別な利益を与えているとして、福利厚生費に該当しないとされるケースがあります。
同様に、社長が個人契約をしているものの、実質的には会社の社宅とみなして賃料を負担する、ということも問題になります。個人契約である以上、会社が均等に利益を与えるべき福利厚生費ではないと言われる可能性が大きいです。
とりわけ、個人契約となると、大家への支払いはいったん個人で行い、後日会社と支払った賃料を精算する、という流れになると思われます。こうなると、所得税が課税される住宅手当となんら変わりませんから、福利厚生費とは言えないと指導される可能性が極めて大きいでしょう。
このため、契約関係を見直し、家賃の支払いも直接法人から行うとともに、社宅扱いとする場合には、社宅とする物件の選択を個人ではなく会社で行う必要があります。
多くの税理士が顧問先に提案する節税の王道「社宅の利用」の注意点とは?
2017.02.10 20:00
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