子供の守り神である地蔵。しかしそれとは違う成立ちの桐ヶ谷斎場の子別れ地蔵

| 心に残る家族葬
子供の守り神である地蔵。しかしそれとは違う成立ちの桐ヶ谷斎場の子別れ地蔵

日本各地のお寺や美術館・博物館には、さまざまな大きさ、形、そしてつくられた国や時代が異なる「仏さま」をかたどった像こと、「仏像」が多く安置・展示されている。そうした「仏さま」の中でも、お寺や美術館などばかりではなく、都会や田舎を問わず、いつも通る道の片隅に、守り神のようにずっと立っている「像」がある。それは、地域のおじいさん、おばあさんがいつもきれいに掃除して、お花やお供え物を絶やさないようにしている「お地蔵さん」「お地蔵さま」だ。

■お地蔵さんの正式名称や、それが登場した時代や歴史、姿形の由来とは

「お地蔵さん」の正式名称は地蔵菩薩である。地蔵菩薩は梵語名、クシティガルバ。大地を意味するクシティ、胎内・子宮を意味するガルバを梵語から成る。お祈りの際に唱える真言(しんごん。マントラ。呪文のこと)は「オンカカカビサンマエイソワカ」。地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天上の「六道(りくどう)」のどこにでも出現し、主に釈迦入滅後、次の弥勒仏が現われるまでの56億7000万年の「無仏(むぶつ)時代」の間、すべての人々を救済すると信じられている。

このような地蔵菩薩が描かれたり、像としてかたどられるときは、剃髪し、袈裟を身につけた若々しい修行僧の姿となっているのが通例だ。また、持物(じもつ。アトリビュート。特定の神や仏が持っている、特殊な持ち物のこと)は如意宝珠(にょいほうじゅ。先端が円錐形にとがった、さまざまな霊験を表すとされる宝の珠)や錫杖(しゃくじょう。旅の僧が携行する杖。先端の輪に遊環が6〜12個通してあり、音が出る。もともとは、山野遊行の際、動物や毒蛇から身を守るため、そして托鉢の際に、家の玄関先で音を鳴らし、来意を告げるためのものだった。煩悩を除去し、知恵を得させると信じられている)や宝剣、蓮の花などである。

■仏教発祥の地インドや、中国でもお地蔵さんと似た存在が古くから確認されている

仏教発祥地のインドでは、信仰対象としての像やレリーフ、絵などに表された形での地蔵菩薩は、今現在見つかっていない。しかし7〜8世紀に活躍した僧侶・シャーンティデーヴァが著した『大乗集菩薩学論』などの中に地蔵菩薩にまつわる記述が登場することから、何らかの形で信仰されていたと考えられる。

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