スペイン・バルセロナで開催されている「バルセロナ・オープン・バンコサバデル」(ATP500/4月24~30日/賞金総額232万4905ユーロ/クレーコート)のシングルス2回戦で、杉田祐一(三菱電機)が第9シードのリシャール・ガスケ(フランス)を4-6 6-3 7-6(3)のフルセットの戦いの末に下し、3回戦に進出した。
予選決勝で敗れたがラッキールーザーで本戦入りのチャンスをつかんだ杉田は、意図していた通りの攻撃的姿勢を貫き、2時間27分におよぶ死闘の末にテクニシャンのガスケを退けた。杉田は木曜日の3回戦で、やはりクレー巧者の第7シード、パブロ・カレーニョ ブスタ(スペイン)と対戦する。
リスクをおかしてでもアグレッシブに打っていく。試合が終盤に差し掛かると、張り詰めた糸の上を渡るような杉田の危険で果敢な攻撃に魅せられ、コート1の観客たちから“スギタ・コール”が沸き上がった。
病み上がりとはいえ、ガスケといえば錦織圭(日清食品)さえが昨年まで6対戦連続で敗れていた相手。ここ数年は9位と25位の間を定宿としているガスケに対し、一歩も引かない“見知らぬスギタ”のプレーがバルセロナの観客の心をとらえたようなのだ。
実際、スリルとサスペンスに満ちた試合だった。第3セット5-4からの自分のサービスで3マッチポイントを握りながら、杉田はそのチャンスをふいにしていた。第1セット4-4の、やはり40-0から挽回され、サービスをブレークされた一幕もあった。
「勝ちきれて本当によかった。5-4から落としてしまって、流れが悪いという感じはあったが、最後まで思いきっていくしかないと思った。ああいう流れだったので、勝利を決めた瞬間の気持ちはうれしいというより、ほっとしているに近かった」と試合後、杉田は明かしている。
ガスケに対し、「攻撃的にいきたい」と言っていた杉田は次々にやってくる苦境にも負けず、その姿勢を貫いた。実際、甘いボールがあれば逃さず叩いてくるガスケ相手に、守勢に回っていては太刀打ちできなかっただろう。
「ガスケ選手のバックハンドは世界最高峰。