5月7日に投開票されたフランス大統領選挙は、下馬評通りマクロン前経済相が国民戦線のルペン党首を破り、大統領の座を射止めた。フランスはEUに残留し、少なくともEU加盟国からの移民流入は続き、サルコジ、オランドと続いた緊縮財政路線も継続することになるだろう。
一応、マクロン新大統領は「EU外」の国境を強化し、不法移民は送還すると公約している。とはいえ、EU加盟国のフランスには、EU圏内からの外国人労働者の流入を食い止めることはできない。そもそも、フランスはシェンゲン協定加盟国であるため、国境におけるパスポートのチェックすらしていないのだ。
筆者は、今回のフランス大統領選挙で最も注目すべき点は、マクロン氏の当選でもルペン氏の健闘でもなく、左翼党のメランション氏が「反EU」を主張し、20%近い票を取ったことだと考える。ルペン氏とメランション氏を合わせると、第1回投票で40%の有権者が「反EU」に投票したことになるのだ。
メランション氏は、もともとはヨーロッパ連邦を支持していたのだが、EUの社会実験の失敗が明らかになるにつれ、
「EUはもう解答でなく、経済自由主義が機構を完全に汚職したことで、EUが必要とする民主化を成し遂げるのを不可能にした」
と、反対に回った。
現在のEUは、モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動の自由化、つまりはグローバリズムの思想に支配された国際協定である。メランション氏風に言えば「経済自由主義」だ。経済自由主義を「固定化」し、民主主義によってすら覆すことを不可能にするグローバリズムの国際協定こそがEUなのである。
EUに加盟している限り、フランスは大々的な失業対策や景気対策を打てない。さらには、移民制限も不可能だ。
フランスの若年層失業率は25%という高水準に達している。全体の完全失業率も10%超の状況が続いている。
ちなみに、
「欧州は社会福祉が充実しているため、失業率が高いのは当然だ」
との感想を覚えた読者がいるかもしれないが、別に欧州の国だからといって高失業率が続くと限った話ではない。21世紀初頭の時点では、失業率が10%を上回っていたのはフランスではなくドイツの方なのだ。
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第222回 グローバリズムと仏韓大統領選挙
2017.05.25 15:00
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