妖怪が出てくるのは、海や山、河川などの自然の中だけではありませんでした。家の中にも現れたそうで、座敷わらしのほか、ぬらりひょん、枕がえし、あかなめ、ふた口女などもよく知られていました。
座敷わらし幸運を招くといわれる座敷わらしは、女の子または男の子の姿をしていて、着物を着ていておかっぱ頭がトレードマーク。東北地方に出没し、座敷ぼっこや蔵ぼっこという名でも呼ばれ、座敷わらしがいる家は繁栄するが、いなくなると没落するという言い伝えがありました。いたずらっこな面もあり、寝ているときに枕を動かしたり物音をたてることもあったそうな。
佐脇嵩之『百怪図巻』「ぬらりひょん」
いつしか現れて家に上がり込むぬらりひょんは老人の姿をしていて、大きな禿頭で、上品な着物や袈裟をまとっているのが特徴です。ぬうりひょんという別名もあり、家の中でお茶を飲んだり煙草をふかしたりと、至ってマイペース。全国に出没するこの妖怪が、妖怪たちの総大将という説もあったとか。