スズキのハスラーは、今流行りのSUVルックスが受けて、今やワゴンRに変わるスズキの看板車種になっています。一方、N-BOXスラッシュはプライベート空間を大事にする人に向けた新しい軽のカタチを提案し、若い人を中心に人気のある車種です。
ハスラーとN-BOXスラッシュは、ともに2015年に発売された軽トールワゴンですが、2車ともにこれまでの画一的なデザインとイメージから脱した、新しいジャンルの個性的な軽自動車です。ところが、その目指す方向はまったく逆といっていいほど異なります。
今回は、この個性的な2車がいったいどのような人に向いているのか、両車の違いを比較しながら解説します。
■両車のスタイル比較ハスラーとN-BOXスラッシュは、見た目のデザインの違いはもとより、乗る人のライフスタイルを提案しているのが他の軽自動車と大きく異なります。軽自動車といえば、その経済性と使い勝手の良さから、ファミリー向けに作られることが多いのですが、この２車種は、「このクルマに乗ればこんなことができますよ」という提案型なのです。それは子育てファミリーでも若いユーザーにでもなく、この車を中心にしたライフスタイルを想像できる人すべてに向けた車なのです。
ハスラー：SUVによるライフスタイルをイメージできるかがポイントベースとなったワゴンRよりほんの少し地上高が高く、フロントガラスの傾斜が少ないことから、ハスラーを見た人はSUVを想像するのは間違いないでしょう。それも、今ブームになっているオシャレな都会派SUVではなく、もう少し以前の泥臭いクロスカントリー、いわゆる「クロカン」に似たフォルムなので、非常に分かりやすいデザインです。当然、キャンプなどのアウトドアからスキーやサーフィンといったスポーツに出かけるシーンを思い浮かべます。
しかし、そのイメージは家族の中でご主人のみが想像するライフスタイルでしかありません。ハスラーを買えば「家族サービスがもっとできるかも……」という妄想なのです。