梅雨、そして夏も終わり、食中毒の季節は終わったように思えるが、暖房環境が整った近年は、9月から冬場にかけても細菌性の食中毒に注意が必要だという。
群馬県と埼玉県の総菜店『でりしゃす』で購入したポテトサラダなどを食べた人が、相次いで腸管出血性大腸菌O157に感染した集団食中毒。その不安は、前橋市内にある同じ系列の店舗で購入した総菜を食べた3歳女児が9月上旬に死亡したことで、一気に広がり始めている。運営会社の『フレッシュコーポレーション』(群馬県太田市)は9月20日、『でりしゃす』系列の全17店舗を19日の営業を最後に閉店した。
世田谷井上病院の井上毅一理事長は、こう警鐘を鳴らす。
「亜熱帯化する今の日本は、O157が繁殖するにはもってこいの環境です。極端だと思うかもしれませんが、例えば、顔を掻いたり撫でた手を洗わずに調理するだけでも、感染することがある。もちろん、外出先でパソコンや携帯電話を使用し、そのままの手で調理することも厳禁です」
今回の件については、火が通った食材でも、その後の状況次第で二次汚染する危険性が指摘されており、前橋市の職員も店舗で使う道具の管理や従業員の衛生教育の重要性を訴えていた。
関東医療クリニック院長で内科医の松本光正氏が言う。
「調理するときに使用した、まな板も気になります。家庭でも、特に傷ついたまな板は、その傷の溝が汚れているため、使用の前後に熱湯をかけることを勧めます。また、キッチンで使っている布巾にも十分な注意が必要で、これも熱湯消毒が最適。食材については、短期間のうちに食べるからといって、そのまま放置せず、冷蔵庫にしまうこと。庫内の温度が上がっていないことも、まめに確かめなければいけません」
O157をはじめ、サルモネラ、腸炎ビブリオなどの食中毒菌は熱抵抗性が低く、75℃での1分間の加熱処理により死滅する。しかし、中には加熱しても死滅しないセレウス菌と呼ばれる特殊な細菌もある。
「セレウス菌については、米、小麦、豆、野菜などの農作物や穀物を原料とする食品が要注意です。つまり、チャーハンやスパゲティ、焼きそばなどは作り置きしないこと。一度、芽胞を作ってしまうと、通常の加熱では死滅しないのです。そのため芽胞ができないように、調理をするのは必要最小量にして早めに食べきり、もし保存する場合はすみやかに冷蔵庫に入れるべきです」(前出・井上氏)
同じ遺伝子型の菌が検出された地域は、これまでの11都県より拡大し、変異した遺伝子型も確認されている。厚生労働省では、人から人への二次感染などで散発的に広がった可能性があると分析している。学校、職場さらには家族にも連鎖する可能性が大だ。
O157二次感染 “人から人へ”11都県から拡大の恐怖
2017.09.29 10:00
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