松本人志はつまらなくなったか:ロマン優光連載95

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松本人志はつまらなくなったか:ロマン優光連載95

ロマン優光のさよなら、くまさん

連載第95回 松本人志はつまらなくなったか

 松本人志さんに対して「つまらない」ということが、最近というか、ここ何年か言われています。90年代のお笑い界を牽引した功労者の一人であり、その後の世間の笑いの感覚を変えたと評されてきたような松本さんが、そのような批判めいた意見にさらされることに何故なってしまったのでしょう? そして、なんで私がこんなことを考えなければならないのでしょう? それはもちろん編集氏から依頼があったからなわけです。「つまらない」と言われることに関しては、受け手の感性の問題といってしまえば、それまでの話なのですが、そんなことを言ってしまったら何の話もできないので、とにかく考えてみたいとおもいます。だから、ここで考えるのは「本当に松本人志はつまらないのか」ということではなく、「なぜ、つまらないと言われるのか」ということです。
 すごく一般的な話になるのですが、加齢により松本さんのお笑い的な反射神経が鈍くなったというのは間違いなく一つの原因にあげられるでしょう。これは松本さんの問題だけではなくて、多くの芸人さんにあてはまることだと思います。昔から多くの芸人さんが役者に転向したり、司会業メインにシフトしていくのには、お笑い芸人という立場にコンプレックスがあったという話ではなくて、反射神経や体力の衰えという原因があったのではないでしょうか。年を重ねることで、テレビのバラエティのようなトークの中でのアドリブを重視される場で、若い頃とは同じようなタイミングで反応できなくなっていくのは仕方のないことなのです。同じ言葉を使っても、タイミングが変わってしまえば面白さもまた変わってしまうものです。言葉もスムーズに出てこないし、言葉の選択も以前より幅が狭まってくる。
  一つの形式を積み重ねることで円熟味が増し、加齢と共に以前にはなかった面白さが年月と共に加わってくる場合もあります。いや、芸というものは本来がそういう風なものなのかもしれません。しかし、ダウンタウンの、松本さんの笑いというものは、そういう形式からいかに外れていくかということで成り立っていたものだと私は思ってました。

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