松本人志はつまらなくなったか:ロマン優光連載95 (3/5ページ)

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 音楽ですと音源というものを作品として残すことができ、それにしっかりと触れることで過去の人々の評価をすることができます。しかし、お笑いというのは、映像が残されていたとしても、あくまで記録にしかなってないように思うのです。それぐらい、お笑いというのは生ものというか、音楽以上にそれを掘り下げていくような強固な意志をもった人以外にとっては、同時代でないとわからなくなってしまうものではないでしょうか? よほどのマニアでない限り、ノスタルジックな気分を交えずに過去のお笑いの動画を見たりできないでしょう。過去の偉業がある人に対しては、人は下駄をはかせた状態で見るものですが、偉業を理解してもらえてない場合は逆に必要以上に低く評価されることもあるのではないでしょうか。松本さんがギャグを言うと、共演している芸人さんたちは当然のように笑います。今、松本さんと共演しているような芸人さんはリアルタイムでダウンタウンの洗礼を受けている年代の人が多く、中には役割として笑ってる人もいる可能性もあるかもしれませんが、若い頃にダウンタウンの笑いによって形成された回路によって普通に笑っている人も多いと思うのです。しかし、現状の地上波での松本さんのことしか頭にない人の中には、周囲の芸人さんが気を使って笑ってるように考えてしまう人もいるでしょう。今の松本さんは大きな権力を持っているわけで、周りが後難を恐れて笑わざるをえない状態にあるのではないかと考えてしまう人もいるでしょう。そういう、かんばしくない印象が、松本さんをよりつまらなく感じさせている可能性も強いです。

 一番目の理由は「かつて松本人志の笑いが好きだった人」の、二番目の理由は「過去の松本人志を知らない人」の、松本さんをつまらないと感じる可能性がある要素として考えたものです。他には、マッチョになって威圧感が全面的に出てきたので面白くないというのも考えられます。昔から知ってる人にとっても、今しか知らない人にとっても影響がある問題だと思います。変な話なんですけど、松本さんをつまらないとネットに書き込んでいる人の大半が、別に松本さんの今の仕事を熱心にフォローしているような人ではないと思います。

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