安倍政権の経済政策は、「緊縮財政」「規制緩和」「自由貿易」の3つが「トリニティ(三位一体)」となって推進される。すなわち、グローバリズムのトリニティだ。例えば、IR法案(統合型リゾート)。安倍政権は7月20日、カジノ解禁を含むIR法を可決した。
現在の日本は、いまだにデフレーションが続いている。すなわち、総需要(消費、投資)が不足する状況が継続しているのだ。ならば、政府がやるべきことは財政拡大による総需要の創出となる。ところが、安倍政権は「緊縮財政」に手足を縛られた状況にある。政府として、財政を拡大することで需要を創り出し、デフレギャップ(需要不足)を埋め、景気を好転させるという「普通の手段」が採れない。
だからと言って、デフレや景気後退に対して手をこまねいているわけにもいかない。政府はカネを使わず、それでも需要を創出するにはどうしたらいいのか。
というわけで、カジノ解禁というわけだ。特に東京、横浜、大阪といった人口密集地にカジノを建設し、日本国民の懐を狙うカジノ産業を呼び込む。確かに、IRやカジノの建設は「投資」になり、日本の総需要不足は緩和される。とはいえ、当たり前だが人口密集地に住む日本国民の所得がカジノ産業に吸い上げられることになるわけだ。
しかも、安倍政権はIR法を通す際に「外資規制」はつけなかった。モノ、ヒト、カネの国境を越えた移動を妨げない「自由貿易」により、実際のIR建設は外資系企業が主導することになるだろう。カジノで散財する日本国民は、外資系カジノ企業に所得を奪い取られることになるわけだ。
水道民営化も同じである。水道管が老朽化している、あるいは人口減少地域の水道サービスの維持が難しくなっているならば、政府主導で建て直せばいい。ところが、緊縮財政により政府が日本国民の水道サービス維持のためにおカネを支出することはできない。ならば、規制緩和、民営化。しかも、例により外資規制なしの水道民営化により、日本の水道サービスを「ビジネス化」してしまえ、という発想になっているのだ。
安倍政権のグローバリズムのトリニティは、日本国民の所得や安全を奪い去る代償として、外資を含む企業に新規ビジネスを提供する。ただ、それだけが目的だ。
世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★第285回 公共サービスの撤退は許されない
2018.09.10 06:00
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