国税庁が11月8日に軽減税率の適用対象を解説するQ&Aの拡充版を公表した。今回新たに示した事例は、ウオーターサーバーの機器レンタル料に対する消費税率は10%だが、そこで使用する水のボトルは飲食料品なので8%とか、回転寿司でレーンを流れてきた寿司をパックに詰めて持ち帰った場合は外食扱いの10%だが、あらかじめ持ち帰り用として注文した場合には8%といった具合だ。
このQ&Aに、新聞やテレビの情報番組が一斉に飛びついた。何が10%で、何が8%という話題を、かなりの時間を割いて、スタジオ展開したのだ。身近な話題だし、ゲストや取材も不要なので、コストパフォーマンスがよいネタだと判断したのだろう。国税庁は、今後もQ&Aを拡充すると言っているから、こうした話題がメディアで繰り返されていくと思われる。
ただ、私は国税庁の小出しのQ&A作成は、増税を既成事実化するための、財務省がたくらむ一種の「炎上商法」だと考えている。「セルフレジで買えば、店内飲食も10%じゃなくて8%で済むからオトクだよね」といった話を積み重ねていくと、いつの間にか消費税10%が、当然のこととして、国民の脳裏に焼き付いてしまうからだ。
ただ、消費税率を2%引き上げることによる増収は5兆円だ。軽減税率の導入によって、そこから税収は1兆円目減りする。さらに、保育士の確保や高校教育の無償化に2兆円使われるから、政府の懐に入ってくる税収は2兆円にすぎない。加えて、景気の落ち込み対策として導入される、ポイント制やプレミアム商品券の発行費用、乗用車や住宅購入時の減税拡充によって、実質的な増収効果はほぼないと言われている。
それではなぜ、財務省は本来嫌がるはずの、あらゆる景気対策を受け入れようとしているのか。その理由は、ただ一つ。安倍総理と菅官房長官のコンビが、消費税増税を凍結するのではないかと、強く恐れているからだ。安倍総理は、過去2回増税を延期している。二度あることは、三度ある。だったら、たとえ増税による増収効果がまったくなくても、どんどん景気対策を受け入れて、とにかく安倍総理が消費税増税を凍結しないような環境を築いていく。
一度、消費税率を10%に引き上げれば、あとは景気対策で導入した減税措置を廃止して行けばよい。
森永卓郎の「経済“千夜一夜"物語」 ★財務省の炎上商法
2018.11.26 07:00
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