年間の児童虐待通報件数は、この10年上昇の一途をたどり、ついに年間12万件超を記録した。虐待によって子供が命を落とすケースは、年間およそ300件とされ、毎日1人の子供の命が家庭内虐待によって奪われていることになる。少子化の昨今、これは緊急に対策を講じる必要がある。
「就学前の0〜5歳の時期は人間形成にとって最も重要です。人口600万人のフィンランドの児童虐待による子供の死亡件数は年間0.3人、つまり3年に1人しか犠牲者は出ていません。同国には『ネウボラ』という仕組みがあって、妊娠期から出産、子供の就学前までの間、母子とその家族を支援する目的で、地方自治体が設置、運営する拠点があるからです。日本でも3年前に各自治体に開設が義務付けられるようになった『母子健康包括支援センター』という組織があり、ネウボラの類似施設として期待されましたが、質量も貧弱で、とてもネウボラとは似て非なる物です」(元児童相談所職員)
日本における虐待の通報は、児童相談所(児相=都道府県を中心に全国21カ所)に集まる。だから、虐待問題が発覚するたびに児相は批判にさらされる。だが、児相にも言い分がある。
「児相職員は1人100件近くの事案を抱え、日夜苦闘しているため精神疾患で離職する職員が続出しているのです。もちろん、厚労省もこの状況を看過しているわけではなく、現在人口4万人に1人の児相職員の配置を目指す取り組みを進めています。わずか数年前まで6万人に1人が目標だったことを考えれば、政策的努力の跡はうかがえるのですが、それでも人口4万人なら(子供の数は総人口の約12%として)児相職員1人で5000人弱の子供たちを相手にする計算になります」(同・職員)
この元児相職員が示したデータが2つある。1つは「5%」という数字だ。これは法律で定められた乳幼児健診を受けていない子供の比率。日本では母子保健法に基づき、1歳半と3歳児健診が法的に定められ、その間も必要に応じて健診が推奨されている。ところが、受診率は、それぞれ95.7%、94.3%となっている。
つまり、約5%の子供が法律で義務付けられている乳幼児健診を受けていない。この5%の子供たちが潜在的な虐待、あるいは「社会的孤立」に陥っている可能性が高い。
児童相談所の職員に“激烈な負担”を強いる日本の薄っぺらな「虐待対策」
2018.12.15 17:30
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