経営者にとって、最も重要な節税は毎年納税するべき法人税の節税です。法人税の節税の際、最も手っ取り早い方法は、経営者及び役員であるその家族で利益の大部分を役員報酬として支給することです。役員報酬については期中で増額ができませんので、予め当期の利益を読んだ上で報酬を決定する必要がありますし、場合によっては報酬が高すぎるとして否認されることもありますが、上手くやれば利益を残さず欠損となり、法人税を納めずに済むことがあります。
このような節税を実行する会社は多いですが、以下のような大きなデメリットがあることも自覚しておく必要があります。
■個人所得税や社会保険料の負担
役員報酬を増やすということは、個人の所得が増えるということを意味します。このため、法人税を納めなくてよくなったとしても、個人の所得税や社会保険料が大きく増加します。
とりわけ、個人の所得税は累進課税で所得が大きくなればなるほど税金が大きくなりますし、近年は法人税を下げて所得税を増税するという流れなので、負担がますます増えていくと見込まれます。このため、自分たちの役員報酬に対する社会保険料や所得税の負担についても、予めシミュレーションしておく必要があります。
■比準要素1の会社になるリスク
その他、会社の利益を計上しないということは、会社の株価評価で大きなデメリットが生じる可能性があります。株価評価上、比準要素1の会社というカテゴリーがあります。この会社は、株価に影響を及ぼすといわれる「配当金額」、「利益金額」「簿価純資産価額」の3要素について、①直前期末においていずれか2つがゼロであり、かつ、②直前々期末においていずれか2以上がゼロである会社を言います。この会社に該当してしまうと、評価上納税者に有利な類似業種比準価額方式という計算が使えないことになり、評価額が大きくアップしてしまいます。
中小企業においては、配当金額を支出することは多くありませんし、何より利益を計上しなければ原則配当できませんから、上記のような法人税の節税をしてしまうと、この比準要素1の会社に該当する可能性が大きくなります。
節税対策の王道である「役員報酬」の隠れたリスクやデメリットを解説
2019.08.06 19:00
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